リプシとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > リプシの意味・解説 

リプシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/25 19:46 UTC 版)

リプシ (Lipsi) は、東ドイツ(ドイツ民主共和国)において、西側のロックンロールに影響されたダンスに代わる共産主義的代替物として生み出されたダンス。男性のリードで女性が踊るパートナーダンス英語版よりも、グループダンス英語版の方が、より性的であると見られていた。

歴史

リプシは、1959年に創作された[1]。しかし、若者たちの間でのウケは悪く1959年夏には、ヴァルター・ウルブリヒトを嘲笑し、エルヴィス・プレスリーを支持する抗議運動が始まった[2]

ディ・フラミンゴス (Die Flamingos) の「Alle tanzen Lipsi」(「皆がリプシを踊っている」の意)とマルティン・メーレ (Martin Möhle) の「Willibalds Lipsi」は、最初のリプシの楽曲としてアミガドイツ語版・レーベルからシングル1959年に出た[3]。これに、ヘルガ・ブラウアードイツ語版のシングル「Heute spielt der Konstantin Klavier」(「今日、コンスタンティンがピアノを弾く」の意)や、クルト・ヘンケルスドイツ語版指揮のルントフンク・タンツオーケスター・ライプツィヒドイツ語版(「ライプツィヒ・ラジオ・ダンス・オーケストラ」の意)の「Lipsi Nr 1」が続いた。同じくクルト・ヘンケルスとルントフンク・タンツオーケスター・ライプツィヒの「Messe-Lipsi」は、クルト・ヘンケルスがアミガから出した最後の曲となった。ヘンケルは、ドイツ社会主義統一党 (SED) のパターナリズムと服従の強要に耐えられなくなり、西ドイツ(ドイツ連邦共和国)へと亡命してしまったのである。

ほとんど興奮させることのないリズムと歌詞で踊るペアのダンスは、若者たちも求めたものではなかった。ハレをはじめとする東ドイツ各地の都市では、この政府が押し付けたダンスに反対する声が若者たちから上がった。「我々はリプシでは踊らないし、アロ・コールの曲ではなくビル・ヘイリーを支持し、ロックンロールで踊る」という声であった[4]

評価

トーキング・ヘッズのリーダーとして知られるデヴィッド・バーンは、リプシについて、「政府がポピュラー文化(民衆の文化)の中に、エルヴィスのロックンロールの腰つきに対する一種の免疫として投入しようとした ... 奇妙な、性的要素のないダンス」と述べている[5]

当時、ドイツ社会主義統一党のハレ地区の指導者、文化教育担当書記であり、党中央委員会政治局のメンバーでもあったハンス・ベンツィエンドイツ語版は、リプシの活動について、47年を経た後の2006年に「リプシは、純然たるプロパガンダの産物であり、すぐに廃れ、今ではお笑い種として取りざたされるだけになっている」と述べた[6]

脚注

  1. ^ Taubert, Klaus (2013年12月13日). “Der Lipsi: Modetanz, made by SED” (German). Spiegel Online. 2015年8月5日閲覧。
  2. ^ Wiener, Jon. How We Forgot the Cold War. University of California Press. p. 172. ISBN 9780520271418. http://www.ucpress.edu/book.php?isbn=9780520271418. 
  3. ^ Amiga 450 056 bei discogs.com, abgerufen am 29. Mai 2015
  4. ^ zit. nach Wiebke Jansen Halbstarke in der DDR: Verfolgung und Kriminalisierung einer Jugendkultur Berlin 2010, S. 108
  5. ^ Byrne, David (2009-09-17). Bicycle Diaries. ISBN 9780670021147. 
  6. ^ Johanna Metz: Der Sound des Kalten Krieges. In: Das Parlament, Nr. 12 / 20. März 2006 [1]

関連項目

外部リンク


「リプシ」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「リプシ」の関連用語

リプシのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



リプシのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのリプシ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS