リスクマネジメントの成功と失敗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 15:11 UTC 版)
「雪印八雲工場脱脂粉乳食中毒事件」の記事における「リスクマネジメントの成功と失敗」の解説
雪印乳業は発覚後、即座に謝罪と製品回収、謝罪広告の掲載、被害者への謝罪訪問など先手先手で対応措置を展開。危機管理(リスクマネジメント)の対応という点では、当時の水準を遙かに上回る措置であったことから、企業イメージへの打撃を最小限度に押さえたばかりか、長期的に見れば企業イメージ向上にすら繋がったと言われている。 当時の雪印社長であった佐藤貢は、「全社員に告ぐ」という文章を作り、『信用を獲得するには長い年月を要し、これを失墜するのは一瞬であり、そして信用は金銭で買うことはできない』旨を記し、安全な製品を消費者に提供することこそが雪印の社会的責任であることを訴え続けた。 雪印乳業は、1986年に中止されるまでは『全社員に告ぐ』を新入社員に配り、八雲工場事件の教訓を常に教え、安全な製品作りを心掛ける教育を施していた。その結果雪印グループは、乳業トップ・食品業界でも屈指の巨大企業グループに登り詰めた。しかしグループの事業規模拡大とともに、トップブランドへの驕りが生じ、安全教育も風化していった。 そして2000年、皮肉にも45年前の当事件とほぼ同じ原因で、雪印集団食中毒事件が発生した。この際安全教育の風化に加えて、責任逃れに走る企業体質などの要因が重なって、対応が後手後手に回り、組織的な原因隠蔽や社長の報道陣に対する暴言など致命的な問題が次々と噴出、リスクマネジメントの観点では最悪の対応と揶揄される事態となった。このため企業イメージは著しく失墜、雪印グループ解体の主要因となった。
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