ランダウ=リフシッツ=ギルバート方程式
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LL方程式の減衰項はラーモア歳差運動のトルクに比例している。しかし、実際に磁性体中で起こる減衰では、磁化ベクトルが時間変化しているため、その減衰運動もまた時間に依存しているはずである。1955年、ギルバートはLL方程式における減衰項を磁化の時間微分に比例する項に置き換えた。 d M d t = − γ M × H e f f + α M s M × d M d t {\displaystyle {\frac {d{\textbf {M}}}{dt}}=-\gamma {\textbf {M}}\times {\textbf {H}}_{\mathrm {eff} }+{\frac {\alpha }{M_{s}}}{\textbf {M}}\times {\frac {d{\textbf {M}}}{dt}}} これがランダウ=リフシッツ=ギルバート方程式(LLG方程式)である。ここで、α>0はギルバート減衰定数と呼ばれ、減衰運動の強さを決定する無次元量である。 LL方程式との違いを見るために、LLG方程式の両辺について磁化ベクトルMとのクロス積をとり、式を整理すると、 d M d t = − γ 1 + α 2 M × H e f f − γ α ( 1 + α 2 ) M s M × ( M × H e f f ) {\displaystyle {\frac {d{\textbf {M}}}{dt}}=-{\frac {\gamma }{1+\alpha ^{2}}}{\textbf {M}}\times {\textbf {H}}_{\mathrm {eff} }-{\frac {\gamma \alpha }{(1+\alpha ^{2})M_{s}}}{\textbf {M}}\times ({\textbf {M}}\times {\textbf {H}}_{\mathrm {eff} })} となる。この表式は数学的にはLL方程式と等価だが、その物理的な意味は大きく異なる。LLG方程式の場合、減衰が十分に強い(α→∞)とき、磁化の時間変化は緩やかになる(dM/dt→0)。一方、LL方程式の場合、λ→∞とすると磁化の時間変化が急激になる(dM/dt→∞)。これより、LLG方程式は減衰が十分に強い現象を記述する際にも有用な式であり、LL方程式は減衰の寄与が比較的小さい現象に対してのみ有用な式であることが分かる。
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ランダウ・リフシッツ・ギルバート方程式
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「マイクロ磁気学」の記事における「ランダウ・リフシッツ・ギルバート方程式」の解説
ランダウ・リフシッツ・ギルバート方程式は磁化の運動方程式である。有効磁場周りの磁化のラーモア歳差運動と、磁性系と環境との間の相互作用により生じる減衰を組み合わせた運動を記述する。この方程式のいわゆる「ギルバート形式」(もしくは陰形式)は次のように書き下される。 ∂ m ∂ t = − | γ | m × H e f f + α m × ∂ m ∂ t {\displaystyle {\frac {\partial {\boldsymbol {m}}}{\partial t}}=-|\gamma |{\boldsymbol {m}}\times {\boldsymbol {H}}_{\mathrm {eff} }+\alpha {\boldsymbol {m}}\times {\frac {\partial {\boldsymbol {m}}}{\partial t}}} ここで、γ は電子の磁気回転比、α はギルバート減衰定数である。 上記の形式は次の「ランダウ・リフシッツ形式」(もしくは陽形式)と等価であることを数学的に示すことができる。 ∂ m ∂ t = − | γ | 1 + α 2 m × H e f f − α | γ | 1 + α 2 m × ( m × H eff ) {\displaystyle {\frac {\partial {\boldsymbol {m}}}{\partial t}}=-{\frac {|\gamma |}{1+\alpha ^{2}}}{\boldsymbol {m}}\times {\boldsymbol {H}}_{\mathrm {eff} }-{\frac {\alpha |\gamma |}{1+\alpha ^{2}}}{\boldsymbol {m}}\times ({\boldsymbol {m}}\times {\boldsymbol {H}}_{\text{eff}})}
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