モデルと解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 04:37 UTC 版)
マルサスモデルでは、ある生物の個体数(人間の場合は人口) P の増加速度が個体数自体に比例するとして、次のように個体数増加速度 dP/dt を表す。 d P d t = m P {\displaystyle {\frac {dP}{dt}}=mP} ここで、t は時間で、m は定数である。発案者に因み、係数 m をマルサス係数と呼ぶ。上式のマルサスモデルを解くと、次のような解が得られる。 P = P 0 e m t {\displaystyle P=P_{0}e^{mt}} ここで、初期 t = 0 における個体数は P0 である。m が正のとき、P は増加の一途をたどることになる。このような形で与えられる指数関数的増加型の個体数増殖のことをマルサス増殖と呼ぶ。 マルサス係数 m について、もう一歩、生物学的な意味を与えれば、出生や分裂などによる個体数増加率と、死亡や分解などによる個体数減少率の差と考えることができる。すなわち、繁殖率を b、減少率を d とすれば、m = b − d となる。この場合は、b と d は正の値に限定される。 トマス・ロバート・マルサスは1798年に発表した『人口論』で、人口の増加は幾何級数的に増えていくことを指摘したことから、このモデルにマルサスの名が付けられている。同時にマルサスは、食糧の生産は算術級数的にしか増えていかないことを指摘し、幾何級数的に増える人口に対して食糧不足が必然的に発生し、悲観的な将来が訪れることを示唆した。ただし、伊藤嘉昭によれば、マルサスモデルとされる式自体を立てたのは1677年のイギリスの人口学者ヘール (Hale) とされる。
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