メタノールのカルボニル化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/14 15:30 UTC 版)
大部分の酢酸はこの方法によって生産されている。メタノールと一酸化炭素を下記の反応式に従って反応させる。 CH 3 OH + CO ⟶ CH 3 COOH {\displaystyle {\ce {CH3OH + CO -> CH3COOH}}} この方法は中間体としてヨードメタンを含む3段階の過程である。2段階目の反応は触媒を必要とし、通常これには第9族元素の金属錯体が用いられる。 CH 3 OH + HI ⟶ CH 3 I + H 2 O {\displaystyle {\ce {CH3OH + HI -> CH3I + H2O}}} CH 3 I + CO ⟶ CH 3 COI {\displaystyle {\ce {CH3I + CO -> CH3COI}}} CH 3 COI + H 2 O ⟶ CH 3 COOH + HI {\displaystyle {\ce {CH3COI + H2O -> CH3COOH + HI}}} メタノールと一酸化炭素は共に簡単に得られる原料であるため、メタノールのカルボニル化は長らく酢酸製造の魅力的な方法であった。セラニーズ社のヘンリー・ドレフュス (Henry Drefyus) は本法の試験プラントを1925年頃に既に開発していた。しかし、腐食性の混合物を200気圧という高圧下で反応させることができる装置の材料が金やグラファイトのほかになかったため、当時は工業化することができなかった。最初の工業化はコバルト触媒を用いる方法で、ドイツの化学会社 BASF社によって1960年に小型プラントが開発された。材質の問題はハステロイの登場により解決されている。1968年にロジウム触媒 (cis-[Rh(CO)2I2]−) が発見され、より低圧でほとんど副生物を発生させずに反応を進行させることが可能になった。この触媒を使用した最初のプラントは1970年にアメリカの化学会社モンサント社によって建設され、ロジウム触媒によるメタノールのカルボニル化が酢酸製造の主要な方法になった(モンサント法)。1990年代後期、化学会社BPケミカルズ社がロジウムをイリジウムで置き換えたカティバ触媒 ([Ir(CO)2I2]−) を開発した。この触媒はよりグリーン・高効率であり、同じプラントで利用できるモンサント法にとって代わった。
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