マチンの公式による計算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 14:48 UTC 版)
「マチンの公式」の記事における「マチンの公式による計算」の解説
マチンの公式を π = 16 arctan 1 5 − 4 arctan 1 239 {\displaystyle \pi =16\arctan {\frac {1}{5}}-4\arctan {\frac {1}{239}}} の形にし、arctan x をグレゴリー級数に直して、それぞれ最初の方の項だけを計算して差 d ( m ) = 16 ∑ n = 0 3 m + 2 ( − 1 ) n 2 n + 1 ( 1 5 ) 2 n + 1 − 4 ∑ n = 0 m ( − 1 ) n 2 n + 1 ( 1 239 ) 2 n + 1 {\displaystyle d(m)=16\sum _{n=0}^{3m+2}{\frac {(-1)^{n}}{2n+1}}\left({\frac {1}{5}}\right)^{2n+1}-4\sum _{n=0}^{m}{\frac {(-1)^{n}}{2n+1}}\left({\frac {1}{239}}\right)^{2n+1}} を取る。 和を取る項数がそれぞれ 3m + 3 項と m + 1 項であり異なっている。これは、1/5 と 1/239 の値が大きく異なるので、計算する項の値の大きさを近付けるために項数を補正しているのである。m が 1 増えるたびに、計算すべき項数は 4 増える。 m = 1 から m = 10 まで計算すると次表のようになる。桁数の欄は実際の円周率の値と一致している小数点以下の桁数である。参考までに末尾に π の値も載せた。 未知の円周率を計算するときには、誤差を評価し、有効な桁数を調べなければならないが、ここでは既に知られている円周率の値と比べて、一致することを確認するだけにとどめる。 md(m)桁数項数0 3.14162 … 3 4 1 3.14159 26526 … 8 8 2 3.14159 26535 8983 … 12 12 3 3.14159 26535 89793 2363 … 17 16 4 3.14159 26535 89793 23846 275 … 21 20 5 3.14159 26535 89793 23846 2643377 … 25 24 6 3.14159 26535 89793 23846 26433 8327981 … 30 28 7 3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 502866 … 34 32 8 3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 41981 … 38 36 9 3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 41971 69341 … 43 40 10 3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 41971 69399 3784 … 47 44 π 3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 41971 69399 37510 58209 7494 … (参考) d(m) は 4(m + 1) 個の項の足し算または引き算によって計算されるので、m = 10 のときは 44 項の和や差を計算していることになる。ここで普通のグレゴリー級数を用いた場合の値を見てみると x = 1 のときのグレゴリー級数 π = 4 arctan 1 = 4 ∑ n = 0 ∞ ( − 1 ) n 2 n + 1 {\displaystyle \pi =4\arctan 1=4\sum _{n=0}^{\infty }{\frac {(-1)^{n}}{2n+1}}} は、非常に収束が遅く、n = 50 までで打ち切って計算してみると 4 ∑ n = 0 50 ( − 1 ) n 2 n + 1 = 3.1611 ⋯ {\displaystyle 4\sum _{n=0}^{50}{\frac {(-1)^{n}}{2n+1}}=3.1611\cdots } となり小数点以下 1 桁までしか円周率と一致していない。 シャープの用いた x = 1/√3 の場合のグレゴリー級数 π = 6 arctan 1 3 = 6 ∑ n = 0 ∞ ( − 1 ) n 2 n + 1 ( 1 3 ) 2 n + 1 {\displaystyle \pi =6\arctan {\frac {1}{\sqrt {3}}}=6\sum _{n=0}^{\infty }{\frac {(-1)^{n}}{2n+1}}\left({\frac {1}{\sqrt {3}}}\right)^{2n+1}} で同じように n = 50 までで打ち切って計算すると 6 ∑ n = 0 50 ( − 1 ) n 2 n + 1 ( 1 3 ) 2 n + 1 = 3.141592653589793238462643395 ⋯ {\displaystyle 6\sum _{n=0}^{50}{\frac {(-1)^{n}}{2n+1}}\left({\frac {1}{\sqrt {3}}}\right)^{2n+1}=3.141592653589793238462643395\cdots } となり、円周率の実際の値とは小数点以下 25 桁まで一致している。上の表で見るとマチンの公式では d(5) で 25 桁まで一致しており、そのときの計算に用いた項の数は 4 × (5 + 1) = 24 項であるので、シャープによる計算のほぼ半分の項数によって、小数点以下 25 桁までの円周率が得られている。
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