ホイッグ党_(アメリカ)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ホイッグ党_(アメリカ)の意味・解説 

ホイッグ党 (アメリカ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/28 09:42 UTC 版)

アメリカ合衆国政党
ホイッグ党
Whig Party
党首 ヘンリー・クレイ
成立年月日 1834年[1][2][3]
前身政党 国民共和党[1]
反メイソン党[1]
解散年月日 1854年[2]
後継政党 共和党[1]
立憲連合党
政治的思想・立場 アメリカ・システム[4]
ナショナリズム[5][6]
シンボル アライグマ
テンプレートを表示

アメリカ史におけるホイッグ党(ホイッグとう、英語: Whig Party[1])とは、アメリカ合衆国にかつて存在した政党。第7代大統領アンドリュー・ジャクソン及び民主党の政策について「専制的であり、近代化に対する反動である」として反対し、大統領に対する議会の優越、社会や金融の近代化、保護貿易による国民経済活性化などを実現するために結成された。ホイッグという名は、アメリカ独立革命の際の独立派(パトリオット)が、反王政派である自らを呼ぶのに使っていた名であり、イギリスホイッグ党との直接的な関係はない。連邦党や第6代大統領ジョン・クィンシー・アダムズ支持派の国民共和党の系列である。

創設者、指導者であるヘンリー・クレイの提唱した経済計画アメリカン・システム(農業、商業、工業を盛んにして国民経済を活発化させるため、農、商、工業のためには農産物を運ぶ道路などのインフラを整備し、商業促進のためには通貨を安定化させる国定銀行を創設し、アメリカ合衆国北東部に集積する工業を保護、育成するためには高い保護関税を課す)を支持し、保護貿易に反対する農業中心の南部の民主党政治家とは対立した。又、民主党が支持したマニフェスト・デスティニーに基づく領土拡張政策にも猛反対し、テキサス併合を巡って民主党と対立した。

1830年代から1840年代にかけて勢いを増し、特に1840年アメリカ合衆国大統領選挙では軍事的英雄のウィリアム・H・ハリソンを大統領候補とし、派手な選挙活動で民主党の現職大統領マーティン・ヴァン・ビューレンを破ることに成功した。ハリソンは風邪をこじらせて就任1か月で死去し、同じくホイッグ党の副大統領ジョン・タイラーが大統領に就任した。しかし南部出身でテキサス併合にも理解を示すタイラーは、経済政策を巡って出身母体のホイッグ党と対立しホイッグ党の政策に拒否権を発動したため、ホイッグはタイラー大統領を除名した。

1840年代はクレイ党首を大統領候補として盛んに活動した。アフリカからの黒人奴隷の問題が深刻化していた時期、ホイッグ党は奴隷反対派を多数抱え、エイブラハム・リンカーン大統領も一時期はホイッグ党に入った。1849年にはザカリー・テイラーを大統領選挙で勝たせたがやはり1年余りで病死し、副大統領ミラード・フィルモアが大統領となった。クレイは奴隷制問題を巡って賛成派と反対派のバランスをとることを模索し、テイラー大統領が反対していた1850年協定を成立させ両者の妥協と当面の連邦崩壊の回避に成功した。しかし北部ホイッグ党員は奴隷制支持派との妥協に失望し、多数の党員が協定成立と前後して離党する。

1850年代には、奴隷制反対派と賛成派の対立が激化し、クレイの死後はまとめる者がなくなった。1854年カンザス・ネブラスカ法成立で北部のホイッグのほとんどは党を離れ、新たに発足した奴隷制反対派の共和党へ移り、残りはカトリック移民に反発するノウ・ナッシングへ移った。南部ではホイッグは消滅状態になった。1860年には共和党に行かずに残ったホイッグ党員が立憲連合党を結成し、ホイッグ党は消滅した。

ホイッグ党からのアメリカ大統領

関連する政党

西アフリカリベリアホイッグ党はアメリカのホイッグ党の影響を受けた政党である。

2007年にはアフガン戦争イラク戦争の退役軍人らが、共和党民主党の中間にいる多数派を代表する政党がないとしてホイッグ党の名を復活させた「現代ホイッグ党英語版」を結成している[7]

脚注

出典

  1. ^ a b c d e 安武秀岳. 日本大百科全書(ニッポニカ) コトバンク. 2019年1月17日閲覧。
  2. ^ a b Whig Party | History, Beliefs, Significance, & Facts Britannica.com. 2018年11月13日閲覧。
  3. ^ National Republican Party”. Encyclopedia.com (2003年). 2019年1月16日閲覧。 “In 1834 the National Republican Party was absorbed by the new and larger Whig Party [ ... ].”
  4. ^ The Editors of Encyclopædia Britannica (1998年7月20日). “Whig Party”. ブリタニカ百科事典. 2019年1月17日閲覧。
  5. ^ Holt, Michael F. (2003). The Rise and Fall of the American Whig Party. オックスフォード大学出版局. p. 4. ISBN 9780195161045. https://books.google.com/books?id=5aGyVFn3VnMC&pg=PA2&lpg=PA2&dq=whig+party+nationalism&source=bl&ots=vS3PPMYdOz&sig=NOyZufjr-JOFwK7usND3k1PTQnY&hl=it&sa=X&ved=0ahUKEwjCtuH2q_zVAhVFsBQKHaJpAAUQ6AEIcDAJ#v=onepage&q=whig%20party%20nationalism&f=false 
  6. ^ Adam, Richards. “The Whigs: Definition & Explanation”. Study.com. 2019年1月17日閲覧。 “The Whigs focused on the notion of nationalism.”
  7. ^ 民主党の牙城でホイッグ党の選挙管理人が誕生 米ペンシルベニア州フィラデルフィア 2013年11月11日 AP

「ホイッグ党 (アメリカ)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ホイッグ党_(アメリカ)」の関連用語

ホイッグ党_(アメリカ)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ホイッグ党_(アメリカ)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのホイッグ党 (アメリカ) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS