プルーフ貨幣の製造工程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 08:22 UTC 版)
「プルーフ貨幣」の記事における「プルーフ貨幣の製造工程」の解説
貨幣の製造は極印(ごくいん)という金型を、円形(えんぎょう)という円板に打ち付け、ハンコのように模様を転写して行われる。これを圧印(あついん)と呼び、こうした製造の基本的な部分は通常貨幣もプルーフ貨幣も同じである。 しかしプルーフ貨幣の製造では、特別に磨き上げられた専用の極印が用意され、同じく特別に鏡面研磨された専用の円形に対して圧印が行われる。そして通常貨幣では1工程内で1回の圧印であるが、プルーフ貨幣では鏡面および掘り込みを綺麗に転写するために2回以上の連続圧印が行われる。圧印が1回だけだと極印の肖像画などの掘り込みの底面部分と円形の間に逃げ場を失い圧縮された空気溜まりが生じ、意図せぬてかりが発生して肖像画などのディテール(特に顔の表情など梨地部分)の転写の妨げとなるためである。極印を少しだけ上昇させて一度型を開放し、再度(2回以上)圧印する事によって精細なディテールが転写される。 また圧印に用いるプレス機についても、従来はナックルジョイント型機械式プレス機が多用されてきたが、近年では世界中の造幣局で、型開き時の隙間を最小化制御でき、圧印時の圧力制御が可能である、高品質な油圧プレス機が多用されている。なお連続圧印において型を開放する際に、極印と円形の間に空気中のゴミが紛れ込むと貨幣の表面にキズとして転写される恐れがあるため、プレス機はクリーンルームの中に設置される。 圧印後は目視検査を併用してキズはもちろん、鏡面の曇りや梨地(マット)部分のてかりが生じた不良品を除去する工程に移るが、ここでの作業もクリーンルームの中で行われるのが普通である。機械的に大量に製造する流通用の硬貨と異なり、厳しい品質管理の下で、非常に手間のかかる作業を経て出荷されている。 なお現在の日本のプルーフ硬貨は、刻印後に湿気などの原因で錆や曇りが出ないように、特殊な樹脂の防錆剤を塗布している。
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