ブタ内在性レトロウイルス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/19 14:33 UTC 版)
「異種移植」の記事における「ブタ内在性レトロウイルス」の解説
内在性レトロウイルス は、ほとんどの哺乳類のゲノムにあり、古代のウイルス感染の痕跡である。染色体DNAに組み込まれているため、親から子へと引き継がれる。 長い時間に蓄積する多くの欠失および突然変異があり、それらは通常、宿主種において感染性ではない。 ブタの内因性レトロウイルス(Porcine endogenous retroviruses、PERVS)は、もともと培養されたブタ腎臓細胞から放出されたレトロウイルスとして発見された。ほとんどの品種のブタでは、DNA中に約50のPERVゲノムが保存されている。これらのほとんどに欠陥があると思われるが、感染ウイルスを産生する可能性のあると考え、ゲノムの配列を決定して脅威となるウイルス感染の痕跡を特定する必要がある場合もある。さらに、相補性および遺伝子組換えを介して、2つの欠損したPERVゲノムが感染性ウイルスを生じる可能性もあるかもしれない。感染性PERV(PERV-A、PERV-B、およびPERV-C)の3つのサブグループがある。実験で、PERV-AおよびPERV-Bが培養中のヒト細胞に感染することが示されている。今日まで、実験的な異種移植では、PERVが感染することは実証されていない。 2015年にはCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集技術を用いて、ブタのゲノム中の全62 PERVが、不活性化され、培養された細胞を用い、ブタ細胞からヒト細胞へのウイルスの感染がなくなったことが示された。
※この「ブタ内在性レトロウイルス」の解説は、「異種移植」の解説の一部です。
「ブタ内在性レトロウイルス」を含む「異種移植」の記事については、「異種移植」の概要を参照ください。
ブタ内在性レトロウイルス(PERV)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/22 10:10 UTC 版)
「テナガザル白血病ウイルス」の記事における「ブタ内在性レトロウイルス(PERV)」の解説
PERVは、1970年に最初に記述され、ガンマレトロウイルス属Retroviridae科Orthoretrovirinae亜科に属している。PERVは、PERV-A、PERV-B、およびPERV-Cの3つのサブタイプに分類される。 PERV-AとPERV-Bは、ヒトとブタの細胞に感染することができるポリトロープウイルスだが、PERV-Cは、ブタの細胞にのみ感染するエコトロピックウイルスである。ヒト細胞におけるPERVの種間伝播は、in vitroで実証されており、ブタの細胞、組織、および臓器の異種移植に対する懸念となっている。 ただし、ブタの神経細胞または植皮の移植を受けた人や、ブタ由来の肝臓または膵臓の異種移植を受けた患者、ブタの組織と接触している肉屋においてもin vivoでのPERV感染は確認されていない。
※この「ブタ内在性レトロウイルス(PERV)」の解説は、「テナガザル白血病ウイルス」の解説の一部です。
「ブタ内在性レトロウイルス(PERV)」を含む「テナガザル白血病ウイルス」の記事については、「テナガザル白血病ウイルス」の概要を参照ください。
- ブタ内在性レトロウイルスのページへのリンク