フラ・アンジェリコのフレスコ画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 10:04 UTC 版)
「フラ・アンジェリコ」の記事における「フラ・アンジェリコのフレスコ画」の解説
フラ・アンジェリコがフィレンツェのサン・マルコ修道院のために描いた一連のフレスコ画は、フラ・アンジェリコがマサッチオの描いた作品の先進性を理解し、さらなる進展を絵画に与えたことを物語っている。裕福なパトロンからの制約や板絵の限界を超越し、神に対する深い敬意と人間への知見、愛を描き出すことに成功した。修道士部屋の壁に描いた飾り気のない静謐なフレスコ画は、それを見て祈る修道士たちに心の平穏をもたらした。赤色よりも青みを帯びたピンク色が多用される一方で、色鮮やかで高価な顔料である青系色はほとんど使用されていない。ドミニコ会の修道服はくすんで艶のない緑色、黒色、白色で構成されている。華美な印象はなく、描かれている静謐な人物像には心の平穏を乱す要素は何もない。フレスコ画を見るものには、あたかもこの絵画が別の平行世界へ通じる窓であるかのように、キリストの身に起こった様々な出来事を自分が実際に体験しているような心理的効果を与えている。これらのフレスコ画を描いたフラ・アンジェリコがいかに信心深い敬虔な男性であったかを証明している作品群である。 マサッチオはサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の壁に描いた写実的な『聖三位一体』で絵画に遠近法を導入した。後に続くフラ・アンジェリコも線遠近法の絵画手法を理解し、イタリア人建築家ミケロッツォ・ディ・バルトロメオとフィリッポ・ブルネレスキがサン・マルコ地区に建設した拱廊を『受胎告知』などの自身の作品に取り入れている。
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