フッラについての学説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/20 07:48 UTC 版)
「フッラ (北欧神話)」の記事における「フッラについての学説」の解説
アンディ・オーチャード(Andy Orchard)はフッラが、バルドルがヘル(冥府)から贈り物をするときに明言された3人の女神のうちの1人であることから(他の2人はバルドルの母フリッグと妻ナンナである)、「メルゼブルクの呪文」にバルドルとフォラが登場することは「興味深い」としている。ジョン・リンドウは、Fulla という名前は「充足(fullness)」と何らかの関係があるのではないかとし、それは豊かさとの関係を示すかもしれないと述べる。 ルドルフ・ジメックは、ケニングでフッラを黄金と結びつけて使うことから、スノッリが「ギュルヴィたぶらかし」でバルドルがヘルからフッラに黄金の指輪を贈ったと言及したのは「フッラがバルドルの神話で何らかの役割を演じることを示しているのではなく、単に彼女と黄金の関係を表したにすぎない」としている。ジメックはフッラが、早くも10世紀のスカルド詩に登場していると述べ、その中では彼女が「豊かさを擬人化したものではなく」むしろ「メルゼブルクの呪文」のフォッラと非常に似ているとしている。ジメックは実際のところフッラが何者であるかは不明であると付け加えながらも、彼女は独立した神であるかもしれないし、単にフレイヤあるいはフリッグと同一なのかもしれないとしている。 ジョン・ナイト・ボストックは、フッラはある時点におけるフリッグの様相であるとする説を唱えている。結果としてこの発想はシントグントとスンナの2人の女神は完全に別個の存在ではなく、ひとりの違った側面を表すものと理解出来るかもしれないという説に帰着する。 ヒルダ・エリス・デイヴィッドソンは、ゲフィオン、ゲルズ、フッラ、そしてスカジらは「北欧で初期の時代に重要な女神に相当したのかもしれないが、スノッリが取材した頃にはほとんど記憶に留まっていなかったのではないか」としている。その一方で、デイヴィッドソンはこれらの女神が1人の偉大な女神に見える諸相を表している可能性についても注記している。デイヴィッドソンはフッラとフォッラを「曖昧で不確実な、スノッリが詩に記しただけの中途半端な記録しかない人物であるが、スカンディナビアにおける豊饒と収穫の女神を3世代を一度に示した可能性がある」としている。
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