ビタミンC合成能を失った動物種との共生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 16:35 UTC 版)
「果物」の記事における「ビタミンC合成能を失った動物種との共生」の解説
L-グロノラクトンオキシダーゼ(ビタミンC合成酵素)遺伝子の活性は、いくつかの種の進化史のなかでそれぞれ独立に失われている。哺乳類ではテンジクネズミや霊長目の直鼻亜目がこの遺伝子の活性を失っており、そのためにビタミンCを合成できないが、その原因となった突然変異は別のものである。どちらの系統でも、活性を失った遺伝子は多数の変異を蓄積しつつ、偽遺伝子として残っている。スズメ目の鳥類では、活性の喪失が何度か起こっており、またおそらくは再獲得も起こったために、種によってビタミンC合成能力が異なる。他に、コウモリ類もこの遺伝子の活性を失っている。これらの動物が遺伝子変異によるビタミンC合成能力を失ったにもかかわらず継続的に生存し得た最大の理由は、これらの動物が果物等のビタミンCを豊富に含む食餌を日常的に得られる共生環境にあったためである。 霊長目でこの酵素の活性が失われたのは約6300万年前であり、直鼻亜目(酵素活性なし)と曲鼻亜目(酵素活性あり)の分岐が起こったのとほぼ同時である。ビタミンC合成能力を失った直鼻亜目にはメガネザル下目や真猿下目(サル、類人猿、ヒト)が含まれている。果物との共生関係はヒトの直系祖先を含め少なくとも6300万年以上の共生関係にあったと考えられる。
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