鰭長剥
ヒレナガハギ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/19 03:41 UTC 版)
ヒレナガハギ | ||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Zebrasoma velifer (Bloch, 1795) |
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シノニム[2] | ||||||||||||||||||||||||
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英名 | ||||||||||||||||||||||||
Sailfin tang Pacific sailfin tang purple sailfinned tang sailfin surgeonfish |
ヒレナガハギ (学名:Zebrasoma velifer) は、ニザダイ科に分類される海水魚の一種。太平洋に分布し、観賞魚として人気の種である。
分類と名称
1795年にドイツの博物学者であるマルクス・エリエゼル・ブロッホにより Acanthurus velifer として記載され、タイプ産地はトランケバルとされた[3]。ウィリアム・スウェインソンが1839年にヒレナガハギ属を設立した際、Acanthurus velifer を唯一の種としたため、属の模式種となった[4]。Zebrasoma desjardinii はかつて同種とみなされており[5]、本種とともにヒレナガハギ属の基底的な位置に存在する[6]。ヒレナガハギ属はニザダイ科に分類され、ナンヨウハギと近縁である。従来のスズキ目ではなく、ニザダイ目に分類する場合もある[7]。
種小名は「veli (帆)」と「fero (背鰭)」を組み合わせたもので、大きな背鰭を指す[8]。veliferum とされることもあるが、velifer が正しい[3]。
形態

背鰭は4-5棘と29-33軟条から、臀鰭は3棘と23-26軟条から成る[2]。体は円盤状で背鰭と臀鰭が非常に高く、鰭を完全に伸ばした全高は体長とほぼ同じになる。ヒレナガハギ属に典型的な細長い吻部を持つ[9]。体色は茶色で、幅の広い灰褐色の横縞と、それを隔てる細い黄色の横縞が入る。背鰭と臀鰭は暗灰色から茶色で、より淡い縞模様がある。尾鰭の色は灰褐色から黄色まで様々である[10]。白い頭部は黄色の斑点で覆われ、暗色の帯が目を通り、目のすぐ後ろにはやや淡い帯がある。頭部の帯にも黄色の点と線が見られる[9]。幼魚は成魚に似ているが、より体色が黄色い[11]。体長は40cmに達する[2]。
分布と生息地
西はクリスマス島周辺、インド洋東部、インドシナ半島東岸、東はピトケアン諸島やハワイ、北は日本、南はオーストラリアやラパ島まで、太平洋に分布する。マルキーズ諸島には分布していない[1]。オーストラリアではロットネスト島からモンテベロ諸島、西オーストラリア州の沖合の岩礁周辺、ティモール海のアシュモア・カルティエ諸島、グレートバリアリーフ北部からクイーンズランド州のモートン湾南方で見られ、幼魚はシドニーまで分布している。ミドルトン礁、エリザベス礁、ロード・ハウ島沖でも見られる[10]。遊泳性の底魚であり、水深45m以浅のラグーンや沖合の岩礁に生息する。幼魚は単独で生活し、サンゴ礁や岩礁に生息するが、濁った海域でも見られる[2]。
生態
通常は単独で生活するが、ペアで見られることもある[1]。葉状の藻類を餌とする。同属他種と比べ、咽頭歯はそれほど発達していない。昼行性であり、求愛と産卵は干潮後の午後の早い時間に行われる[2]。
人との関わり
食用に漁獲されており、グアムでは槍や罠を使って捕獲されている。キイロハギやゴマハギよりも体が大きく、食用魚としての価値が高い。観賞魚としても取引されている[1]。
出典
- ^ a b c d Abesamis, R.; Choat, J.H.; McIlwain, J. et al. (2012). “Zebrasoma veliferum”. IUCN Red List of Threatened Species 2012: e.T178010A1520055. doi:10.2305/IUCN.UK.2012.RLTS.T178010A1520055.en 2025年1月25日閲覧。.
- ^ a b c d e Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2023). "Zebrasoma velifer" in FishBase. June 2023 version.
- ^ a b “CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Zebrasoma”. researcharchive.calacademy.org. 2025年1月25日閲覧。
- ^ “CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Acanthuridae”. researcharchive.calacademy.org. 2025年1月25日閲覧。
- ^ “Species Zebrasoma desjardinii (Bennett, 1836) Indian Sailfin Tang”. Australian Faunal Directory. 2023年10月11日閲覧。
- ^ Radu C. Guiasu; Richard Winterbottom (1993). “Osteological Evidence for the Phylogeny of Recent Genera of Surgeonfishes (Percomorpha, Acanthuridae)”. Copeia 1993 (2): 300–312. doi:10.2307/1447130. JSTOR 1447130.
- ^ J. S. Nelson; T. C. Grande; M. V. H. Wilson (2016). Fishes of the World (5th ed.). Wiley. pp. 497–502. ISBN 978-1-118-34233-6
- ^ “Order ACANTHURIFORMES (part 2): Families EPHIPPIDAE, LEIOGNATHIDAE, SCATOPHAGIDAE, ANTIGONIIDAE, SIGANIDAE, CAPROIDAE, LUVARIDAE, ZANCLIDAE and ACANTHURIDAE” (英語). The ETYFish Project (2024年11月20日). 2025年1月25日閲覧。
- ^ a b “Sailfin Tang”. Animal World (2023年9月10日). 2023年10月13日閲覧。
- ^ a b Bray, D.J. (2019年). “Zebrasoma veliferum”. Fishes of Australia. Museums Victoria. 2023年10月13日閲覧。
- ^ Community, Aquatic. “Appearance”. 2025年1月25日閲覧。
関連項目
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