ヒストンの翻訳後修飾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 08:06 UTC 版)
「ヌクレオソーム」の記事における「ヒストンの翻訳後修飾」の解説
ヒストン修飾は1960年代半ばに発見されて以降、転写に影響を与えることが予測されてきた。初期に発見された翻訳後修飾の大部分はヌクレオソームのコアから突出したテール部分に集中していたことから、ヒストン修飾の機構に関する2つの主要な仮説が導かれた。1つ目の仮説は、ヒストン修飾はヒストンテールとDNAの間の静電的相互作用に影響を与え、クロマチン構造を緩めるというものである。その後、こうした修飾は他のタンパク質をリクルートするための結合エピトープを形成するという仮説が提唱された。近年、ヒストンの構造領域にも多くの修飾が発見されており、こうした修飾がヌクレオソームコア内部のヒストン-DNA間相互作用やヒストン-ヒストン間相互作用に影響を与えることが提唱されている。アセチル化やリン酸化など、ヒストンコアの電荷を減らす修飾はコアとDNAの結合を緩めることが予測される。その影響の大きさはコア内の修飾の位置に依存している。一部の修飾は遺伝子のサイレンシングと相関しており、他のものは遺伝子の活性化と相関しているようである。一般的な修飾としては、リジンのアセチル化、メチル化、ユビキチン化、アルギニンのメチル化、セリンのリン酸化である。このようにして保存された情報は、DNAにはコードされていないものの娘細胞に遺伝するため、エピジェネティックな遺伝とみなされる。遺伝子の抑制状態や活性化状態の維持は、細胞分化の過程で必要となることが多い。
※この「ヒストンの翻訳後修飾」の解説は、「ヌクレオソーム」の解説の一部です。
「ヒストンの翻訳後修飾」を含む「ヌクレオソーム」の記事については、「ヌクレオソーム」の概要を参照ください。
- ヒストンの翻訳後修飾のページへのリンク