ヒストンコード仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 16:27 UTC 版)
「クロマチンリモデリング」の記事における「ヒストンコード仮説」の解説
ヒストンコード(英語版)仮説は、DNAにコードされている遺伝情報の転写が部分的にはヒストンタンパク質、主にその構造をとらない末端部の化学修飾によって調節される、という仮説である。DNAのメチル化などの類似した修飾とともに、エピジェネティックコード(英語版)の一部を構成する。 多くの研究の蓄積により、こうしたコードはヒストンをメチル化したりアセチル化したりする特定の酵素によって書き込まれ(ライター)、脱メチル化や脱アセチル化活性を持つ他の酵素によって消去され(イレーザー)、そして最終的に特定のドメイン(ブロモドメイン(英語版)、クロモドメイン(英語版)など)を介してこうした修飾へリクルートされて結合するタンパク質によって読み取られる(リーダー)ことが示唆されている。これらライター、イレーザー、リーダーによる3つの作用によって、転写調節やDNA損傷修復などに適した局所的環境が確立される。 ヒストンコード仮説の重要なコンセプトは、ヒストン修飾は単にヒストンとDNAの相互作用を安定化したり不安定化したりするのではなく、専用のタンパク質ドメインによって修飾を特異的に認識する他のタンパク質をリクルートするために利用される、という点である。こうしてリクルートされたタンパク質はその後、クロマチン構造を活発に変化させたり、転写を促進したりする。 遺伝子発現に関するヒストンコードの非常に基礎的な概要を下に示す。 修飾の種類ヒストンH3K4H3K9H3K14H3K27H3K79H4K20H2BK5モノメチル化 活性化 活性化 活性化 活性化 活性化 活性化 ジメチル化 抑制 抑制 活性化 トリメチル化 活性化 抑制 抑制 活性化、抑制 抑制 アセチル化 活性化 活性化
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