バスカード (西鉄バス)とは? わかりやすく解説

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バスカード (西鉄バス)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 01:26 UTC 版)

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バスカードは、西鉄グループ亀の井バス日田バスを除く)の路線バスに採用されていた磁気式乗車カードプリペイドカード)。1992年9月1日発売開始。紙式回数券に代わるものとして導入されたが、ICカード乗車券「nimoca」への置き換えにより、2009年度いっぱいで廃止された。

販売枚数は2007年度(ICカード導入前の最終年度)485万枚[1]で、バス収入に占める割合は30%[2]であった。

以下、特記ない限り廃止時点での情勢を記す。

沿革

  • 1992年平成4年)
    • 8月20日:発売開始[3]
    • 9月1日:32番・34番宇美線、36番須恵線の3路線で利用開始[3]。その後、福岡地区で導入(車両へのカードリーダー設置)開始。
  • 1993年(平成5年)
    • デザイン変更。
    • 11月1日:福岡地区の全車に導入完了。
  • 1994年(平成6年)
    • 10,000円カードを追加。現行デザインに変更。
    • 8月1日:北九州地区で導入開始(同年10月までに北九州地区の全車に導入完了)。
  • 1995年(平成7年)3月1日:西鉄の全路線および分離子会社全社で導入開始(3月20日までに完了[4])。
  • 1997年(平成9年)2月1日:オリジナルデザインによるバスカード「つくりバスカ」を開始(500円カードおよび1,000円カード。2000年に廃止)
  • 2000年(平成12年)8月1日:乗り継ぎ割引制度を施行。500円券を廃止。
  • 2008年(平成20年)5月18日那珂川営業所nimoca導入。同営業所所属車内における10,000円券発売終了。以後nimocaを導入した営業所の車両が順次これに続いた。
  • 2009年(平成21年)
    • 4月1日:バスカード終了発表。
    • 9月30日:バスカードの販売を終了。
  • 2010年(平成22年)3月31日:バスカードのサービスを終了。
  • 2015年(平成27年)3月31日:バスカードの払い戻しを終了。

利用対象のバス

一般路線バス

以下の各社が運行する路線。

例外
以下のバスでは利用できない。

高速バス・特急バス・急行バス

  • 西鉄バスグループ(上記一般路線バスの項に記した各社と西鉄高速バス)のみで運行する高速バス・特急バス・急行バス
  • 福岡 - 熊本間高速バス「ひのくに号」(西鉄便のみ)
  • 福岡 - 日田間高速バス「ひた号」(日田バスでも利用できたが、車両運用の関係で一部に利用できない便があった)
  • 日田バスが運行する朝倉街道 - 日田・高塚間および久留米 - 日田・高塚間の急行バス

券種

1,000円、3,000円、5,000円、10,000円の4種類。

販売金額 利用額 プレミア率 地色
1,000円 1,100円 10%  
3,000円 3,400円 13.3%  
5,000円 5,750円 15%  
10,000円 11,500円  

発売開始当初はバスの写真を入れたデザインであったが、1994年に10,000円のバスカードが発売された際にデザインを全面変更し、発売額ごとに異なる地色(1,000円券が赤、3,000円券が青、5,000円券が緑、10,000円券が金色)にストライプを配し、バスを擬人化したイラストを入れたデザインとなった。その後、カード左端と下端の色・デザインはこれを踏襲しつつ、風景、景勝地、世界遺産、その他様々な写真を印刷するようになり、定期的に写真が変更されていた。

2008年度は、西鉄の創立100周年記念事業の一環で、子会社を含めた全社で記念の写真・イラスト柄が使われていた。

2009年にバスカード終了が発表されたのちは写真の印刷を取りやめ、チェック柄(1,000円券が赤、3,000円券が青、5,000円券が緑、10,000円券が黄)のデザインに統一し、販売終了まで販売された。

参考

よかネットカードのプレミア率は3,000円券が+200円で約6.7%、5,000円券は+500円で10%。記念券だけの発売となった1,000円券は額面通り。

また、nimocaは単純比較ができないものの、通常のバス乗車においては1ポイント付くための単位利用運賃が50円、プレミア率は2%であり、割引率の減少(事実上の値上げ)となる。[2]ただし、月ごとの利用額に応じて、2,000円単位で利用額が増えるとボーナスポイントが付く。それでも、10,000円利用した場合、単純計算の合計ポイントは950ポイントで、プレミア率は10%に満たない。実際にはポイント算定金額は切り捨て処理のため、合計ポイントはこれより少ない。

使用方法

  • 2ドア(中乗り前降り)車両の場合は、乗車時にドア横のカードリーダーに挿入し、降車時に運賃箱のカードリーダーに挿入。
  • 1ドア(前乗り前降り)車両の場合は、乗車時にカードリーダーの下部の挿入口から挿入し、降車時にはカードリーダーの上部の挿入口から挿入。西鉄バス久留米(京町)と西鉄バス北九州の高速車両は2ドア車と同じように乗車用と降車用のカードリーダー機があった。
  • カード残額不足時は現金または別のカード(よかネットカードも可)を挿入。

バス乗継割引

同じカードを用い、同一バス停において90分以内にバスを乗り継いで利用すると、乗継割引として、1回あたり80円が割引される(機械の自動精算)。ただし、乗り継ぐ前か乗り継いだ後の乗車区間の運賃が180円未満の場合、割引額はこれより少なくなる。乗り継ぐ前の運賃が180円未満の場合、乗り継いだ後の割引額は乗り継ぐ前の運賃から100円を引いた額となる。乗り継いだ後の運賃が180円未満の場合、乗り継いだ後のバスで100円が引き去られる。乗り継ぐ前か乗り継いだ後の運賃が100円の場合は割引が適用されない。

乗継割引は90分以内である限り何度連続で乗り換えても有効。また急行・特急・高速バスでもバスカードを取り扱う車両であれば有効。

具体例
  • 福岡タワー南口からキャナルシティ博多までを天神で乗り換える場合
  • 福岡タワー南口→(220円)→祇園町→(100円)→キャナルシティ博多前
  • 合計金額は320円だが、100円区間は割引の対象にならないため割引なし。逆(100円区間→100円以上)も同様。
  • 天神バスセンターから大分坑までを飯塚乗継で行った場合
  • 西鉄天神バスセンター→(900円)→飯塚→(450円)→大分坑
  • 合計金額は1350円だが、西鉄天神バスセンター~飯塚間が900円なので大分坑下車時に80円引き。よって1270円。
  • 浮羽町役場前→(150円)→浮羽発着所→(870円)→西鉄久留米→(180円)→ゆめタウン久留米
  • 合計金額は1200円だが、浮羽町役場前~浮羽発着所間が150円なので、西鉄久留米降車時に50円引き。さらに浮羽発着所~西鉄久留米間が870円なので、ゆめタウン久留米降車時に80円引き。よって計130円引かれることになり、1070円となる。

各地域で指定された同一エリア内においては、同一バス停での乗り継ぎでなくても乗り継ぎ割引が適用される。また、100円区間が対象の適用外となるのは、上記のように最低運賃が100円として設定されており、100円区間は既に割引が適用されているとみなされるからである。

廃止までの経緯と事後対応

西鉄は、2008年5月18日ICカードnimoca」を導入した。電車・バスの利用だけでなく、電子マネーとして買い物などにも利用でき、チャージを繰り返すことにより何度でも利用できるメリットがある。バスについては当初は那珂川営業所のみであったが、他の営業所でも導入が進められていった。

このため、西鉄は2009年4月1日、バスカード廃止を発表し[1]、路線バス全車両への導入が完了する2009年9月いっぱいで販売を完全終了した。その後、2009年度いっぱい(2010年3月31日)で取り扱いを完全終了し、順次バスカードリーダーを撤去。以後5年間、手数料なしで払い戻しを行う。

払い戻しについては、以下の数式で額を決定する。

残額 ×(発売額 ÷ 発売時の利用可能額) = 払戻額(10円未満は切り上げ)
発売額10,000円(利用可能額11,500円)のカードが2,000円分残っていた場合
2000 × (10000 ÷ 11,500) = 1739.13 → 1,740円

なお、西鉄電車・福岡市営地下鉄との共通券である「よかネットカード」についても、バスについてはバスカード終了と同時に利用を取り止めた(西鉄電車・地下鉄では2011年10月31日まで利用可能だった)。

2014年度いっぱい(2015年3月31日限り)で払い戻しを終了した。

関連項目

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 割引乗車券のサービス終了について (PDF)”. 西日本鉄道 (2009年4月1日). 2009年4月1日閲覧。
  2. ^ a b 西鉄バスカード廃止 来年3月末 事実上の値上げ ニモカに全面移行”. 西日本新聞 (2009年4月2日). 2009年4月7日閲覧。
  3. ^ a b “西鉄「バスカード」導入 9月1日から3路線に”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (1992年8月5日) 
  4. ^ “西鉄のバスカード 20日までに導入完了”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (1995年3月9日) 

外部リンク




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