ド・ボークルールの分類法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/15 03:03 UTC 版)
「銀河の形態分類」の記事における「ド・ボークルールの分類法」の解説
ジェラール・ド・ボークルールが1959年に初めて記述したド・ボークルールの分類法は、ハッブルの分類の拡張として広く用いられている。ド・ボークルールは、渦状腕の緊密度と棒状構造の存在に基づいたハッブルによる二次元での渦巻銀河の分類では、観測される銀河の形態の全てを適切に記述できていないと考えた。特に彼は、渦巻銀河にとって環とレンズが重要な構造上の要素であると考えた。 ド・ボークルールの分類法では、銀河を楕円、レンズ状、渦巻、不規則に分類するハッブルの分類の基礎については維持し、ハッブルの分類を補うために、3つの形態的な特徴に基づいて渦巻銀河のさらに複雑な分類法を導入した。 棒 - 銀河は、棒状構造の有無によって分類される。ド・ボークルールは、棒を持たない渦巻銀河についてSAという記号を導入した。彼はまた、弱い棒しか持たないSABという中間的な分類も許容した。レンズ状銀河についても、棒のないもの(SA0)とあるもの(SB0)に分類し、真横を向いている等の理由から棒の有無が判別できないものはS0とした。 環 - 環状構造を持つ銀河は(r)、持たない銀河は(s)の記号で表すこととした。いわゆる「遷移」銀河は(rs)とされた。 渦状腕 - 元のハッブルの分類と同様に、渦巻銀河は、まず渦状腕の緊密度によって分類された。ド・ボークルールはこれを拡張し、いくつかの分類を付け加えた。Sd(SBd) - 個々の星団や星雲から構成される希薄で破壊された腕を持ち、バルジは非常に暗い。 Sm(SBm) - 外見は不規則でバルジを持たない。 Im - かなり不規則な銀河 これら3つの分類に属するほとんどの銀河は、ハッブルの分類ではIrr Iに分類されていた。さらに、Sd型はハッブルの分類でのSc型も含む。Sm型やIm型の銀河は、マゼラン雲にちなんでそれぞれマゼラン渦巻銀河、マゼラン不規則銀河と呼ばれる。大マゼラン雲はSBm型、小マゼラン雲はIm型である。 分類における異なった要素をリストの順番に結合すると、銀河の完全な分類となる。例えば弱い棒を持つ渦巻銀河で緩く巻いて傷ついた腕を持ち、さらに環を持つものは、SAB(r)cという記号で示される。 ド・ボークルールの分類スキームは、ハッブルの音叉の三次元版であり、渦巻の度合いを示すx軸は段階(stage)、棒の有無を示すy軸は族(family)、環の有無を示すz軸は変種(variety)と言われる。
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