タトラ地方の民謡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 21:43 UTC 版)
「カロル・シマノフスキ」の記事における「タトラ地方の民謡」の解説
ショパンやパデレフスキが主にポーラなど北部低地地方の民謡に取材したのに対し、シマノフスキが影響を受けたのはポーランド南部のタトラ山地の民謡の中でも特に、グラル人(Górale)と呼ばれる、牧畜を主体とする農民に伝わるものであった。それは、リディア旋法や、即興的にビブラートを加えるリディゾヴァニエと呼ばれる歌唱法、不規則なフレーズが突然挿入されたりする特徴を持つオフビートのリズムが支配的な快活な舞曲である。中には「山賊踊り」と呼ばれる荒々しい仕草とフレーズをもつ楽しい踊りもある。 彼は木造の民家の隅で、農民たちが活き活きと汗をとばしながら踊る姿を見つめ、床を踏みならす音をきいて楽しんだという。エッセイの中でシマノフスキは「ポーランドの農民は芸術家に匹敵する」と語っている。彼は19世紀にこれらの民謡を紹介した編曲が荒々しさを矯め、短調の感傷的な音楽にしてしまったことを嘆いている。自身の作品では神経質なほど精密に不協するリズムセクションを再現し、音楽の荒々しいパワーを損なわないよう配慮している。こうした姿勢は「20のマズルカ集 op.50」に顕著で、リズムのエネルギー、バグパイプを模した5度の単純な持続音や反復音、不規則なフレージング、大胆な複調などがためらいなく用いられている。
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