タイレノール殺人事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 04:47 UTC 版)
「タイレノール」の記事における「タイレノール殺人事件」の解説
詳細は「en:Chicago Tylenol murders」を参照 1982年9月29日、アメリカ合衆国シカゴ近郊のイリノイ州エルクグローブ村で、12歳の少女が「タイレノール・エクストラ・ストレングス」のカプセルを服用したところ、混入されていたシアン化合物によって死亡。以後計5瓶のタイレノールによって、計7名の死者を出した。この他に毒物が混入された3瓶が回収された。事件は未解決で、この後シカゴ周辺では、1986年にエキセドリン殺人事件と多くの模倣事件が発生した。 この事件で、ジョンソン・エンド・ジョンソンは「タイレノールにシアン化合物混入の疑いがある」とされた時点で、迅速に消費者に対し、125,000回に及ぶテレビ放映、専用フリーダイヤルの設置、新聞の一面広告などの手段で回収と注意を呼びかけた(1982年10月5日、タイレノール全製品のリコールを発表)。およそ3,100万本の瓶を回収するにあたり、約1億USドル(当時の日本円で約277億円)の損失が発生。事件発生後、毒物の混入を防ぐため「3重シールパッケージ」を開発し発売。この徹底した対応策により、1982年12月(事件後2ヶ月)には、事件前の売上の80%まで回復した。 ジョンソン・エンド・ジョンソンには「消費者の命を守る」ことを謳った「我が信条(Our Credo)」という経営哲学があり、社内に徹底されていた。緊急時のマニュアルが存在しなかったにもかかわらず、迅速な対応ができたのはこのためである。 この事件は、危機管理における対応策の定石として認識されている。
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