スカラーからスーパースカラーへ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 16:03 UTC 版)
「スーパースカラー」の記事における「スカラーからスーパースカラーへ」の解説
最も単純なプロセッサアーキテクチャをスカラープロセッサと呼ぶ。スカラープロセッサでは、各命令で1つか2つのデータを一度に扱う。一方、ベクタープロセッサでは同時に多数のデータを扱う。これは数学におけるスカラーとベクトルの違いに似ている。スーパースカラープロセッサはこれらの中間と言える。各命令は1つのデータを扱うが、CPU内に複数の実行ユニットがあるため、それぞれ別のデータを扱う複数の命令を同時並行的に実行可能となる。 スーパースカラーCPUの設計では、複数存在する実行ユニットを常に働かせておくために、命令の分配機構が重要である。実装される実行ユニット数が増えるにつれ、その重要性は増している。初期のスーパースカラー型CPUには、2つのALUと1つのFPUが搭載されていたが、最近の PowerPC 970 では4つのALUと2つのFPUと2つのSIMDユニットが搭載されている。分配機構が効率的でない場合、これらの実行ユニットに連続して命令を供給することができず、システムの性能は全体として低くなる。 スーパースカラープロセッサの実行効率はサイクル当たりの実行命令数で表される。ただし、サイクル当たりの実行命令数が大きいからといって、常にスーパースカラーだとは限らない。パイプライン型CPUやマルチコアCPUも同様の性能を示すが、方式は異なる。 スーパースカラー型CPUでは、分配機構がメモリから命令群を読み込み、そこから並列に実行できる命令を選択し、実行ユニット群にそれらを供給する。従って、スーパースカラープロセッサはパイプラインが複数あって、各パイプラインが1つの命令スレッドを実行していると見なすこともできる。
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