ジョン・オーエン・ガントレットとは? わかりやすく解説

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ジョン・オーエン・ガントレット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/01 10:28 UTC 版)

ジョン・オーエン・ガントレット
人物情報
生誕 1907年3月1日
岡山県岡山市
死没 1988年9月21日
出身校 ケンブリッジ大学
学問
研究分野 英語学
研究機関 青山学院大学早稲田大学慶応大学横浜専門学校
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ジョン・オーエン・ガントレットJohn Owen Gauntlett1907年3月1日[1] - 1988年9月21日[2])は、日本言語学者、フルート奏者[3]。父はエドワード・ガントレット、母は山田耕作の実姉ガントレット恒

経歴

1907年3月1日岡山県岡山市生まれ[1]ケンブリッジ大学卒業後[4]1931年から横浜専門学校(現・神奈川大学)で専任英語教員として英語を教え[5]1937年から高千穂高等商業学校(現・高千穂大学)で英語講師として勤務した。

しかし、太平洋戦争の勃発により、イギリス国籍を有する敵国人として扱われるようになった。外出などは特別高等警察の監視下におかれ、日常の自由に様々な制限を課された。そして、1942年第八高等学校の講師を解任され、資産も凍結されてしまう。窮地に立たされたジョン・オーエンは警察官の勧めもあり、既に帰化していた両親のもとに戻り、1942年5月頃に日本への帰化申請を行った。これがのちのガントレット事件へとつながる[1]

戦後は進駐軍の教育部に技術顧問として勤務し[6]、その後早稲田大学慶応大学[7][注釈 1]青山学院大学で教授を務めた[9]。英語に関する著書を残しており、英語の教科書を手掛けたこともある[10]

フルート奏者でもあり[11]1966年8月に設立された「日本フルート協会」では副会長をつとめた[12]

ガントレット事件

最高裁判所判例
事件名 国籍不存在確認請求
事件番号 昭和25(オ)206
1956年(昭和31年)7月18日
判例集 民集 第10巻7号890頁
裁判要旨
内務大臣が認定を誤り旧国籍法第七条第二項第五号に反して帰化を許可しても、その許可は無効ではない。
最高裁判所大法廷
裁判長 田中耕太郎
陪席裁判官 栗山茂真野毅小谷勝重島保斎藤悠輔岩松三郎谷村唯一郎小林俊三本村善太郎入江俊郎池田克垂水克己
意見
多数意見 真野毅・島保・岩松三郎・小林俊三・入江俊郎・池田克・垂水克己
意見 なし
反対意見 田中耕太郎・栗山茂・小谷勝重・斎藤悠輔・谷村唯一郎・本村善太郎
参照法条
旧国籍法(明治33年法律66号)7条
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ジョン・オーエンは第二次世界大戦により日本の敵国となったイギリスの国籍を保有していたため、1942年5月頃に日本への帰化申請を行い、1943年2月6日に帰化が認められた。戦後になり、警察や社会的環境からの圧迫強制により自分の意志と反しての帰化であったと主張を行った[1]

旧国籍法の第七条第二項第五号によれば、外国人が帰化するにあたって申請者が日本の国籍を取得することによって、外国の国籍を喪失することが帰化の要件であった。しかし、1914年のイギリスの判例でイギリス国民は敵国で帰化をしてもイギリス国籍を喪失しないとされていた[1]

そのため、ジョン・オーエンはイギリス国籍を喪失しておらず、日本の帰化要件を満たしていないため、日本国籍が不存在である確認の訴えを起こした[1][13]

1956年7月18日最高裁判所大法廷判決は『行政行為は違法が重大且つ明白である場合以外、これを無効とすることはできない。』とし、この事件を原審に差し戻した[14]


著書

  • 『English conversations in three volumes. book1~3』巖松堂書店、1937年
  • 『標準英語作文 文法解説』大学書林、1958年

ほか

脚注

注釈

  1. ^ 慶応大学には1946年から1956年の10年間勤務した[8]

出典

  1. ^ a b c d e f 国籍法逐条解説」国立国会図書館デジタルコレクション
  2. ^ ガントレット,J.O - 歴史が眠る多磨霊園
  3. ^ 丹下聡子「村松孝一研究 (1) : ベーム式フルート製作の始まり : 明治期から昭和初期における国内の楽器情況」『愛知県立芸術大学紀要』第45巻、愛知県立芸術大学、2015年、151-164頁、CRID 1390290699871843584doi:10.34476/00000513ISSN 0389-8369 
  4. ^ 全国大学職員録 昭和38年版」国立国会図書館デジタルコレクション
  5. ^ 日本英語教育史研究 (6)」国立国会図書館デジタルコレクション
  6. ^ 近代日本の女性史 第7巻 (国際舞台の女性たち)」国立国会図書館デジタルコレクション
  7. ^ OBAMC十三音会第2回演奏会プログラム及十三音第3号 増訂版」国立国会図書館デジタルコレクション
  8. ^ 慶応義塾外国語学校略史 : 1942-1958」国立国会図書館デジタルコレクション
  9. ^ 日本人の表現心理」国立国会図書館デジタルコレクション
  10. ^ 新しい教室 6(3);3月号」国立国会図書館デジタルコレクション
  11. ^ オルガン研究 (14)」国立国会図書館デジタルコレクション
  12. ^ 協会のこれまで」一般社団法人日本フルート協会
  13. ^ 国籍法逐条解説」国立国会図書館デジタルコレクション
  14. ^ 目で見る行政法教材」国立国会図書館デジタルコレクション

外部リンク




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