シュートの背腹性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 19:41 UTC 版)
茎は葉とは異なり、本質的な背腹性を示さないとされるが、匍匐性のものやカワゴケソウ科、着生植物では著しく扁平となり、内部構造も背腹性を持つものが存在する。小葉植物のヒカゲノカズラ科およびイワヒバ科は匍匐を行い、形態は背腹性を示すが、葉序は明確な背腹性を持たないとされる。ヒノキ Chamaecyparis obtusa でも葉序は十字対生であるが、シュートそのものに背腹性をもち、上下左右の葉には形の相違がある。このことを不等葉性(ふとうようせい、anisophylly)という。 茎が横臥するものや着生するものでは葉序に背腹性を示す。大葉シダ植物のハカマウラボシ Drynaria roosii やカニクサ Lygodium japonicum では、横走する根茎の背面側に少なくとも見かけ上1縦列または2縦列に葉を生じる。サンショウモ Salvinia natans では、水面に横たわる茎の上面寄りに2個の浮葉、その側方に側枝を挟んで1個の根葉が1組となって茎の上面寄りの2列をなして着生する背腹性葉序を示す。種子植物でも、根茎や着生する茎では葉が上面または背面側に偏位する。エノキ Celtis sinensis、クリ Castanea crenata、サワシバ Carpinus cordata、カラタネオガタマ Michelia figo などの側枝は背腹性葉序をもつ。偏2列縦生で、2縦列は下方へ偏るが、腋芽にはその性質はない。カラタネオガタマでは、側枝の葉の2縦列間の下側の開度は葉の分化当初から100°-150°の範囲で枝により異なるが、1つの枝としては一定で、腋芽の側生第1前葉は直上茎では基本螺旋の進向側に、横枝では向地側に着生する。エノキなどの実生の主軸は当初直立しているが、少し成長すると主軸が横斜し、葉序も背腹性を示す。
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