サークルズ (ザ・フーの曲)とは? わかりやすく解説

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サークルズ (ザ・フーの曲)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/07 17:29 UTC 版)

サークルズ
ザ・フー楽曲
収録アルバム トゥーズ・ミッシング
英語名 Circles
リリース 1966年3月4日(シングル『恋のピンチ・ヒッター』B面)
録音 1966年1月末頃
ジャンル ロック
時間 3分37秒
レーベル リアクション・レコード
作詞者 ピート・タウンゼント
作曲者 ピート・タウンゼント
プロデュース ザ・フー

サークルズ」(Circles)は、イングランドロックバンドであるザ・フーが1966年のシングルで発表した[1]楽曲である。「インスタント・パーティ」(Instant Party)の曲名でも発表された[2][3]

解説

作詞・作曲はピート・タウンゼントによる。彼がギターとヴォーカルの多重録音によって制作したデモ[注釈 1]に基づいて録音された。ザ・フーの楽曲の中でジョン・エントウィッスル金管楽器を演奏した[注釈 2]初めてのものである。

本曲には2つの録音が存在する。

本ページでは便宜上、前者をブランズウィック版、後者をリアクション版と呼称し、以下、発表に至る経緯を順序に従ってリアクション版から述べる。

リアクション版(「サークルズ」または「インスタント・パーティ」)

1965年12月、タルミーのプロデュースで制作したデビュー・アルバム『マイ・ジェネレーション』がイギリスでブランズウィック・レコードから発表された。1966年1月12日と13日、ザ・フーはシングル『マイ・ジェネレーション』に続く5作目のシングルとして、タルミーのプロデュースで「サークルズ」と「インスタント・パーティ・ミクスチャー」[注釈 3]をレコーディングした[4]。しかし間もなく彼等は印税の取り分を巡ってタルミーと対立し、彼との契約を破棄してブランズウィック・レコードを去り、エージェントのロバート・スティグウッドが設立したリアクション・レコードへ移籍した。彼等は同月末に自分達のプロデュースで「サークルズ」を再録音し[5]、同年2月にピート・タウンゼントのプロデュースで録音した新曲「恋のピンチ・ヒッター」のシングルのB面収録曲に用いることにした。

インスタント・パーティ
ザ・フー楽曲
英語名 Instant Party
リリース 1966年3月4日(シングル『恋のピンチ・ヒッター』B面)
録音 1966年1月末頃
ジャンル ロック
時間 3分37秒
レーベル リアクション・レコード
作詞者 ピート・タウンゼント
作曲者 ピート・タウンゼント
プロデュース ザ・フー

シングル『恋のピンチ・ヒッター』は35,000枚もの予約を受けて、3月4日にリアクション・レコードから発表された[1][6]。「自分がプロデュースした作品の著作権は自分にある」と主張するタルミーがB面に収録された「サークルズ」について何らかの法的な行動を起こす可能性が考慮されて、「サークルズ」を「インスタント・パーティ」に改題した[注釈 4]シングル[2]も同時に発表された[7][注釈 5]。はたしてタルミーは裁判所に「サークルズ」の収録が著作権の侵害に当たると訴えた[注釈 6]。同月8日、裁判所は彼の訴えを認めてシングル『恋のピンチ・ヒッター』発売の差し止めを命ずる判決を下し、2種類のシングル[注釈 5]は発売5日後に店頭から姿を消した。

リアクション版は同年11月にイギリスで発表された5曲入りEP『レディ・ステディ・フー』に「サークルズ」として収録された。アメリカでは解散後の1987年に発表された編集アルバム『トゥーズ・ミッシング』に「サークルズ」として収録されて、アメリカで初めて入手可能になった。

ブランズウィック版(「インスタント・パーティ」)

インスタント・パーティ
ザ・フー楽曲
収録アルバム ザ・フー・シングス・マイ・ジェネレーション( 1966年4月)
英語名 Instant Party
リリース 1966年3月7日(シングル『リーガル・マター』B面)
録音 1966年1月12日と13日
ジャンル ロック
時間 3分37秒
レーベル ブランズウィック・レコード
作詞者 ピート・タウンゼント
作曲者 ピート・タウンゼント
プロデュース シェル・タルミー

タルミーは上記の訴えを起こすと、シングル『恋のピンチ・ヒッター』の売り上げを鈍らせる為に、3月7日にザ・フー側に無断でブランズウィック・レコードからシングル『リーガル・マター』を発表した[3]。A面にはアルバム『マイ・ジェネレーション』の「リーガル・マター」、B面には自分がプロデュースした「サークルズ」を「インスタント・パーティ」と改題して収録した。

ブランズウィック版は、1966年4月、アメリカでデッカ・レコードから発表されたデビュー・アルバム『ザ・フー・シングス・マイ・ジェネレーション[注釈 7]に「インスタント・パーティ」として収録された。

参加ミュージシャン

カヴァー

脚注

注釈

  1. ^ タウンゼントの編集アルバム『スクープ』(1982年)に収録された。
  2. ^ 本曲ではフレンチ・ホルンを演奏。
  3. ^ ディオン・アンド・ザ・ベルモンツ風のパロディ曲」で、未発表のままお蔵入りとなり、2002年に発表された『マイ・ジェネレーション』のデラックス・エディションでようやく日の目を見た。
  4. ^ 内容は同じくリアクション版「サークルズ」である。
  5. ^ a b Reaction 591001。
  6. ^ 自分は1966年に録音されたオリジナル(ブランズウィック版)をプロデュースしたのだから著作権は自分にある、という主旨。
  7. ^ モノラル録音(DL 4664)とステレオ録音(DL 74664)がある。
  8. ^ プロデューサーはグリン・ジョンズジミー・ペイジがプロデュースしたとする文献があるが、ペイジがプロデュースしたのはデビュー・シングルである。

出典

  1. ^ a b c www.thewho.com”. 2025年2月18日閲覧。
  2. ^ a b c www.thewho.com”. 2025年1月27日閲覧。
  3. ^ a b c www.thewho.com”. 2025年2月18日閲覧。
  4. ^ a b Neill & Kent (2007), p. 111.
  5. ^ a b c d Neill & Kent (2007), p. 115.
  6. ^ Discogs”. 2025年2月19日閲覧。
  7. ^ Discogs”. 2025年2月19日閲覧。
  8. ^ Discogs”. 2025年2月16日閲覧。
  9. ^ Discogs”. 2025年2月16日閲覧。

引用文献

  • Neill, Andy; Kent, Matt (2007). Anyway Anyhow Anywhere: The Complete Chronicle of The Who 1958-1978. London: Virgin Books. ISBN 978-0-7535-1217-3 



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