サンゴパイプヘビとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > サンゴパイプヘビの意味・解説 

サンゴパイプヘビ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/14 23:59 UTC 版)

サンゴパイプヘビ
サンゴパイプヘビ Anilius scytale
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
亜目 : ヘビ亜目 Serpentes
: サンゴパイプヘビ科
Aniliidae Stejneger, 1907
: サンゴパイプヘビ属
Anilius Oken, 1816[2]
: サンゴパイプヘビ A. scytale
学名
Anilius scytale
(Linnaeus, 1758)[2]
シノニム
  • Anguis scytale Linnaeus, 1758[2]
英名
Coral cylinder snakes[2]

サンゴパイプヘビ(学名:Anilius scytale)は、爬虫綱有鱗目に分類されるヘビ。本種のみでサンゴパイプヘビ科サンゴパイプヘビ属を構成する(単型)。

分布

エクアドルコロンビアトリニダード・トバゴブラジル仏領ギアナベネズエラペルーボリビア[2]

形態

全長60 ‐ 90センチメートル[3]。最大全長120センチメートル[3]。体型は円筒形だが[4]、頭部は扁平[3][5]。胴体中央部の列になった鱗の数(体鱗列数)は19か21[3]。総排泄孔までの腹面を覆う鱗(腹板)は220 - 248枚[3]。総排泄孔より後部の尾腹面を覆う鱗(尾下板)は10 - 15枚[3]。背面の体色は赤で、40 - 73本の黒い横帯(輪状にならず途切れることもある)が入る[3]。属名Aniliusは「残酷な」の意で、猛毒種で構成されるサンゴヘビ属に類似することが由来と考えられている[3]。名前のサンゴもサンゴヘビ属に類似することに由来する[4]。雄には蹴爪がある[5]

上唇を覆う鱗(上唇板)は6枚で、第2 - 5上唇板は大型で同程度[3]。第3 - 4上唇板は眼に接する[3]。眼には黒い横帯が入るため識別が難し[3]、眼の位置をごまかす働きがあると考えられている[4]。上顎骨と下顎骨の関節部にあたる骨(方骨)が非常に短いため、口を大きく開けることができない[3][4]。頚部はくびれない[3][5]

分類

方骨が短いことからAniliidaeにパイプヘビ科Cylindrophidaeとされる構成種を含む(この場合Aniliidaeの和名がパイプヘビ科とされていた)、もしくはパイプヘビ科とパイプヘビ上科Anlioideaを構成する説もあった[3][4]。分子年代推定からパイプヘビ科とは遺伝的距離が大きいと推定され、パイプヘビ科などはUropeltoidea上科として分割された[3]。2亜種が知られる。和名は田原(2022)による[6]

サンゴパイブヘビ Anilius scytale scytale (Linnaeus, 1758)
腹板が225以上で、黒い横帯が狭い[3]
ヒロオビサンゴパイプヘビ Anilius scytale phelpsorum Roze, 1958[2][3]
腹板が225以下で、黒い横帯が広い[3]

生態

標高0 - 400メートルにある熱帯雨林、浸水林、河畔などに生息する[3]。主に地中棲で自ら掘った巣穴で生活するが、夜間や雨天時には地表に現れることもある[3]。まれに浅い水たまりや沼を泳ぐこともある[3]。外敵に襲われると地中へ逃げるか、頭部を胴体の下へ隠し尾を持ち上げる防御行動を取ることもある[3]。これは有毒種への擬態と考えられている[5]

食性は動物食で、爬虫類(ミミズトカゲ科、ピグミーテユー科)、両生類(アシナシイモリ科、ミズアシナシイモリ科、コヤスガエル属)、魚類(タウナギ科 Synbranchus marmoratus)などを食べる[3][7]。ブラジルの162個体(そのうち21個体が体内に食物があり、16個体が属単位まで同定)を用いた消化器官の内容物調査ではミミズトカゲ(13個体 82.5 % ミミズトカゲ属Amphisbaena、ブラジルミミズトカゲ属Aulura、ナンベイミミズトカゲ属Leposternon)、ヘビ(2個体 12.5 % 本種とTantilla属)、無足類(1個体 6.2 % アシナシイモリ属Caecilia)が確認された例がある[7]。そのため細長い獲物を選択的に捕食すると考える説もある[3][7]

繁殖形態は胎生。妊娠期間は4 - 6か月[5]。1回に6 - 10匹の幼蛇を産む[4][5]

ギャラリー

脚注

出典

  1. ^ Arredondo, J.C., Castañeda, M.R., Cisneros-Heredia, D.F., Velasco, J., Hoogmoed, M.S., Nogueira, C. de C., Schargel, W., Rivas, G. & Martins, M.R.C. 2019. Anilius scytale. The IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T167047A15204086. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2019-2.RLTS.T167047A15204086.en. Accessed on 23 November 2023.
  2. ^ a b c d e f Anilius scytale. Uetz, P. & Jirí Hošek (eds.), The Reptile Database, http://www.reptile-database.org, accessed May 15, 2015
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 乙部洋平 「サンゴパイプヘビ」『クリーパー』第70号、クリーパー社、2014年、104-107頁。
  4. ^ a b c d e f 鳥羽通久 「"二つの頭を持つ" パイプヘビ、ミジカオヘビ」『週刊朝日百科 動物たちの地球 両生類・爬虫類9 ニシキヘビ・シマヘビほか』千石正一編著 第5巻 105号、朝日新聞社、268頁
  5. ^ a b c d e f Crista J. Ramsaroop(2011) Anilius scytale (Pipe Snake or False Coral Snake). The Online Guide to the Animals of Trinidad and Tobago. University of the West Indies. Retrieved 15 May 2015.
  6. ^ 田原義太慶『大蛇全書』グラフィック社、2022年3月25日、55頁。ISBN 978-4-7661-3558-9 
  7. ^ a b c Maschio, Gleomar F and Prudente, Ana Lucia da C and Rodrigues, Francilio da S and Hoogmoed, Marinus S "Food habits of Anilius scytale (Serpentes: Aniliidae) in the Brazilian Amazonia",Zoologia (Curitiba) 27 (2),2010,pp 184-190



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「サンゴパイプヘビ」の関連用語

サンゴパイプヘビのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



サンゴパイプヘビのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのサンゴパイプヘビ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS