グルーオンの色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/13 23:10 UTC 版)
クォークの波動関数はSU(3)の基本表現、3成分を持つ列ベクトルの値をとる。基底で展開すれば、3種類のクォークがあるのと同じである。これらを比喩的に赤・青・緑の色価を持つ、とする。反クォークは行ベクトルであって、これに補色、反赤・反青・反緑を割り当てる。 そしてグルーオンは、SU(3)の随伴表現に属する。これは3×3の行列のうち、エルミートでありトレースが零であるもののなす空間である。 色の比喩で言えば、赤の列・反青の行の成分は赤-反青を持つ、というように色と補色を一つずつ持っている事に相当する。これから上記のトレース成分を除いた8成分が、量子色力学に現れるグルーオンである。 トレース成分 ( 1 0 0 0 1 0 0 0 1 ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}1&0&0\\0&1&0\\0&0&1\\\end{pmatrix}}} すなわち[赤-反赤]+[青-反青]+[緑-反緑]に対応するような成分は、各色に対してゲージ変換を施した(左右からユニタリ行列とその逆行列を掛けた)とき変化せず(無色ないしは白色)、他の成分とは明らかに違う表現に属する事が分かる。 以上の操作を 3 × 3 ¯ = 1 + 8 {\displaystyle \mathbf {3} \times {\overline {\mathbf {3} }}=\mathbf {1} +\mathbf {8} } と表記する。 クォークとの相互作用は、色と補色を対で生成・消滅するような形で起こる。すなわち赤のクォークから赤-反青のグルーオンが放出されると、クォークの色は青になる。グルーオン同士の相互作用はグルーオン3つが関係するものと4つが関係するものがあるが、いずれも行列の交換関係とトレースからなる演算がゼロにならないもの同士の間に起こる。このような行列はやはり色と補色が互いに対応しあっているものである。しかも交換関係が関与していることから、これが本質的にゲージ群の非可換性を源としていることが分かる。
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