カルボキシル基の変換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/14 15:30 UTC 版)
酢酸(左)と酢酸エチル(右)の分子模型 酢酸はカルボン酸として一般的な反応性を示す。たとえば硫酸を触媒としてアルコールと共に加熱すると酢酸エステルが生成する。これはフィッシャーエステル合成反応と呼ばれる方法である。可逆反応(平衡反応)であるため、エステル生成物を効率よく得るには出発物質を過剰に使用する必要があり、イソペンチルアルコールとの反応による酢酸イソペンチルの合成では、過剰量の酢酸が用いられる。 CH 3 COOH + C 5 H 11 OH ⟶ CH 3 COOC 5 H 11 + H 2 O {\displaystyle {\ce {CH3COOH\ + C5H11OH -> CH3COOC5H11\ + H2O}}} 酢酸からのエステル合成法としては他にアルケンへの付加があり、ヘテロポリ酸を触媒としてエチレンから酢酸エチルが得られる。 : CH 3 COOH + CH 2 = CH 2 ⟶ CH 3 COOCH 2 CH 3 {\displaystyle {\ce {:CH3COOH + CH2=CH2 -> CH3COOCH2CH3}}} アセトアミド(左)と塩化アセチル(右)の分子模型 炭酸アンモニウムと混合して加熱すると、酢酸アンモニウムの生成と脱水を経てアセトアミドが得られる。この反応は蒸留によって酢酸を除きながら行い、さらに沸点のより高い残渣を引き続いて蒸留し、純粋な目的物を得る。アンモニアを使っても同様な反応が起きる。 2 CH 3 COOH + ( NH 4 ) 2 CO 3 ⟶ 2 CH 3 COONH 4 + H 2 CO 3 {\displaystyle {\ce {2 CH3COOH + (NH4)2CO3 -> 2 CH3COONH4 + H2CO3}}} CH 3 COONH 4 ⟶ CH 3 CONH 2 + H 2 O {\displaystyle {\ce {CH3COONH4 -> CH3CONH2 + H2O}}} カルボン酸塩化物である塩化アセチルは、酢酸と三塩化リンや塩化チオニルなどの反応で得られる。塩化チオニルは過剰量を用いるが、蒸留では塩化アセチルと分離しづらいため、余ったぶんは蟻酸と反応させて分解する。 CH 3 COOH + SOCl 2 ⟶ CH 3 COCl + SO 2 + HCl {\displaystyle {\ce {CH3COOH + SOCl2 -> CH3COCl + SO2 + HCl}}}
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