オニルリソウとは? わかりやすく解説

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オニルリソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/25 15:33 UTC 版)

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オニルリソウ
福島県中通り地方 2020年8月中旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : シソ類 Lamiids
: ムラサキ目 Boraginales
: ムラサキ科 Boraginaceae
: オオルリソウ属 Cynoglossum
: オニルリソウ
C. asperrimum
学名
Cynoglossum asperrimum Nakai (1923)[1]
シノニム
  • Paracynoglossum asperrimum (Nakai) M.Popov (1953)[2]
  • Cynoglossum asperrimum Nakai var. yesoense Nakai (1923)[3]
  • Cynoglossum asperrimum Nakai var. tosaense (Nakai) H.Hara (1949)[4]
  • Cynoglossum tosaense Nakai (1923) [4]
和名
オニルリソウ(鬼瑠璃草)[5][6]

オニルリソウ(鬼瑠璃草、学名Cynoglossum asperrimum)は、ムラサキ科オオルリソウ属越年草[7][8]

特徴

は直立し、上部は斜上してよく分枝し、長さ2mmになる開出毛が生え、高さ60-120cmになる。根出葉ロゼット葉となり、花期には枯れて生存しない。茎につくは互生し、葉身は長楕円状披針形で、長さ10-20cm、幅2-3.5cmになり、先端と基部はとがり、基部には短い葉柄がある。葉質は薄く、表面には、まばらに細くて硬い長さ1mmほどの毛が生える。植物体全体に粗い開出毛が目立つ[5][6][7][8]

花期は6-8月。花序は枝先に数個互生して斜上し、花序は巻散花序になり、はじめ先端が巻いているが後に長さ15-20cmに伸びる。花序にははなく、まばらに多数のをつける。花柄は花時に長さ2-3mmになり、果時に長さ5-6mmに伸びる。は深く5裂し、裂片は長さ約2mmになり、果時には4-5mmになる。花冠は径3-4mmと小さく、淡青紫色で5裂し、裂片は卵円形で、花冠喉部に付属体がある。雄蕊は5個あり、花冠内部につく。花柱は1個ある。果実は下向きにつき、やや扁平な楕円体の4つの分果になり、分果の長さは3-4mm、先端が鉤状になった太い刺が密生し、動物や衣服にくっついて散布されるひっつき虫になる[5][6][7][8]

分布と生育環境

日本では、南千島、北海道、本州、四国、九州に分布し[5][6][7][8]、山地の林内、林縁、草地に生育する[5]。国外では朝鮮半島に分布する[7][8]

名前の由来

和名オニルリソウは、「鬼瑠璃草」の意で、中井猛之進 (1923) による命名である[9][10]

種小名(種形容語)asperrimum は、「非常に粗面の」の意味[11]

分類

中井猛之進 (1923) は、東京植物学会の『植物学雑誌』に、"Notulæ ad Plantas Japoniæ et Koreæ XXIX” および「日本産おほるりさうハ四種アツテ皆新種デアル」を発表し、本種のほか、高知県に産し、葉の表面の毛は稀に生え、葉が著しくとがるもを「トサルリソウ(土佐瑠璃草)」Cynoglossum tosaense Nakai (1923) として独立種とし、また、北海道に産し、オニルリソウの毛が一層多く、花序に長毛が生えるものを「エゾルリソウ(蝦夷瑠璃草)」Cynoglossum asperrimum Nakai var. yesoense Nakai (1923) として、オニルリソウの変種とした[9][10]。現在は、両種ともにオニルリソウに合一されている[3][4]

同属のオオルリソウ Cynoglossum furcatum Wall. var. villosulum (Nakai) Riedl (1994)[12]は本種によく似る。本種の茎には長さ2mmになる開出毛が生え、植物体全体に粗い開出毛が生え、葉先はとがり、葉質は薄く、葉の毛はまばらである。それに対し、オオルリソウの茎には下向きの短い圧毛が生え、触るとザラザラし、葉先は鈍頭で、葉質はやや厚く、短毛が多い。また、本種の日本での分布域は、南千島、北海道、本州、四国、九州であるが、オオルリソウは、本州の中部地方以西、四国、九州である[6][7][8]

ギャラリー

関連項目

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ オニルリソウ、米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  2. ^ オニルリソウ(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b オニルリソウ(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b c オニルリソウ(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  5. ^ a b c d e 『新北海道の花』p.313
  6. ^ a b c d e 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1016
  7. ^ a b c d e f 『原色日本植物図鑑・草本編I(改訂59刷)』p.199
  8. ^ a b c d e f 米倉浩司 (2017)「ムラサキ科」『改訂新版 日本の野生植物 5』p.53
  9. ^ a b Takenoshin Nakai, Notulæ ad Plantas Japoniæ et Koreæ XXIX, The Botanical Magazine, 『植物学雑誌』Vol.37, No.433, pp.en.4-7, (1923).
  10. ^ a b 中井猛之進、「日本産おほるりさうハ四種アツテ皆新種デアル」、The Botanical Magazine, 『植物学雑誌』37巻434号、pp.68-70, (1923).
  11. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1484
  12. ^ オオルリソウ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献



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