エル・プリメロ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 05:51 UTC 版)
エスペラントで「第1の」を意味するエル・プリメロ(El Primero、英語ではThe First)は、36000振動/時のハイビート設計ムーブメントを採用した自動巻クロノグラフであり、1969年にゼニスとモバードが共同で開発した「Cal.3019 PHC」を搭載したのが出発点である。ただし、同年にはブライトリング、ホイヤー・レオニダス(現タグ・ホイヤー)、ハミルトン・ビューレン、デュボア・デプラが4社共同で開発した「Cal.11」や、諏訪精工舎(現セイコー)が開発した「Cal.6139」が発表されており、自動巻のクロノグラフとしては、これらとともに草創期の製品といえる。 エル・プリメロを搭載した時計は、振動数のより少ない時計よりも歩度調整により高い精度に調整できる上、1/10秒を計測できるなどの特徴があり、現在でもゼニスの主力商品となっている。 なお、エル・プリメロは1988年からロレックスにも供給されており、デイトナ用の自社ムーブメントを開発する2000年まで続いた。 Cal.3019はクォーツショック後の製造再開時にCal.400とその派生機であるCal.4000へと改良された。 Cal.400は開発当初のムーブメントに近く、主力モデルである36000 VpHに搭載されており、一部にはクロノメーター認定を受けているものもある。 Cal.4021と4061はオープン仕様向けのムーブメントであり、テンプ周りの地板がくり貫かれ、テンプの運動を腕にはめた状態でも眺めて楽しめる。クロノマスター1969とクロノマスター・パワーリザーブに搭載される。 Cal.4050系列はクロノグラフ針が1周して10秒を表示する機構(通常モデルは60秒で1周する)になっており、限定モデルのストライキング10thやストラトス・フライバックに搭載される。 ほかにはワールドタイム機能を搭載したものや、トゥールビヨン、永久カレンダーなどの複雑機構を搭載したものもある。また、2012年にはクロノグラフ機構を廃したCal.4650とそれを搭載したハイビート3針モデル「エル・プリメロ・エスパーダ」が発表された。
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