エル・ゼイニに明かした秘話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/14 14:18 UTC 版)
「オンム・セティ」の記事における「エル・ゼイニに明かした秘話」の解説
エジプト研究者であるエル・ゼイニは、オンム・セティと個人的に親しくなることで、彼女が誰にも打ち明けなかった秘話を知らされる事となった。それはオンム・セティの過去生にまつわる物語である。 結婚生活をしていたオンム・セティが、「ホル=ラー」と呼ばれる霊から知らされた情報によると、彼女の前世は「ベントレシュト」という名の古代エジプトの女神官だった。ベントレシュトは、ふとしたことからセティ1世と恋に落ちた。やがて、彼女は妊娠したが、それは純潔を守るはずの神官にとって、掟を破る重罪に相当するものであった。もし自分が妊娠したことが発覚し審問にかけられれば、愛人であるセティ1世の立場を追い詰めることになると考えた彼女は、彼の名誉を守るために自害した。死んで変わり果てた姿になったベントレシュトを目の当たりにしたセティ1世は、決して彼女の事を忘れはしないと涙ぐみながら誓ったという。 そして現代に戻り、ドロシー・イーディーとして14歳を迎える頃になると、セティ1世が毎夜、自分の枕元に訪れるようになった、とオンム・セティは言い放った。ある晩、胸に圧迫を感じて目が覚めたドロシーは、目の前に霊体として佇むミイラ姿のセティ1世を確認した。ドロシーは驚きながらも喜んだ。次の訪問はオンム・セティがエジプトに移った時に起こり、この時にセティ1世は50代男性のハンサムな姿で現れた。こうした逢瀬は何度も繰り返され、夫を持つ身になってもそれは続いたが、それは道徳的なものだった。セティが死後の世界から舞い戻ったのは、エジプトの冥界「アメンティ」の許可を得たからであり、その代わりに二人は厳格な決まりに従わなければならないのだという。この事が、オンム・セティがアビュドゥスに戻る時期が遅れた理由だった。やがてアビュドスの地に戻って、今度こそ神官として義務を全うすれば、自分が死んだ時にすべての罪は忘れられて今度こそセティ1世と永遠に結ばれる事になる、とオンム・セティは記している。
※この「エル・ゼイニに明かした秘話」の解説は、「オンム・セティ」の解説の一部です。
「エル・ゼイニに明かした秘話」を含む「オンム・セティ」の記事については、「オンム・セティ」の概要を参照ください。
- エル・ゼイニに明かした秘話のページへのリンク