エネルギーのやりとり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 04:31 UTC 版)
「スイングバイ」の記事における「エネルギーのやりとり」の解説
スイングバイにより宇宙機が加速されると、そのぶん惑星の公転速度が減ることになる。速度が落ちることで惑星は太陽に若干近づき、軌道半径が小さくなるために再び速度は増えて落ち着く。結局、加速スイングバイでは、惑星の位置エネルギーが減り、宇宙機の運動エネルギーと惑星の運動エネルギーがそのぶん増えるのである。 逆に、スイングバイによって宇宙機が減速する場合は、惑星は、若干太陽から遠ざかり、公転速度が遅くなる。そして、宇宙機の運動エネルギーと惑星の運動エネルギーが減ったぶん、惑星の位置エネルギーが増える。 しかし、惑星と宇宙機の質量の比は非常に大きいため、惑星への影響は無視できるほど極めて小さい。例えば、木星とボイジャー 1 号や 2 号との質量比は 2.6×1024(2.6 兆×1 兆)対 1 程度で、地球と少々重めのノートパソコン(2.3 kg 程度)を比較するのに等しい。スイングバイによりボイジャーが 15 km/s から 30 km/s に加速したとすると、それにより、木星の公転半径は約 1.4×10-12 m 小さくなり、公転速度は約 1.2×10-20 m/s 速くなることになる。 なお、サイエンスフィクションにおいては、質量比を無視できないほどの物体(非常に多数の小惑星など)をスイングバイさせることによって、惑星の軌道や自転軸などをずらすといったアイディアが用いられている作品がある。
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