エタノールからの製造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/13 11:38 UTC 版)
東ヨーロッパや中国、インドなどではエタノールからブタジエンが合成されている。接触分解により大量に合成されるブタジエンと比較すると価格面では劣るが、エタノール経由の製造法は初期投資が小さいため小スケールのプラントで製造するのに好都合だったためである。大きく分けて2つの合成法がある。 1つめの合成法はセルゲイ・レベデフにより発見されたもので、エタノールを金属触媒下で高温に加熱してブタジエンと水素、水へと変換するものである。 2 CH 3 CH 2 OH ⟶ CH 2 = CH − CH = CH 2 + 2 H 2 O + H 2 {\displaystyle {\ce {2CH3CH2OH -> CH2=CH-CH=CH2\ + 2H2O\ + H2}}} このプロセスは第二次世界大戦中、および戦後のソビエト連邦の合成ゴム製造の中心となった方法であり、2006年現在でもわずかながらロシアや東ヨーロッパでプラントが稼働している。 もう一つの方法はロシアの化学者Ivan Ostromislenskyにより発見された方法であり、エタノールを酸化しアセトアルデヒドとした後に、タンタル / 二酸化ケイ素の触媒下でエタノールを加え325–350℃に加熱することでブタジエンを得るというものである。 CH 3 CH 2 OH + CH 3 CHO ⟶ CH 2 = CH − CH = CH 2 + 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {CH3CH2OH\ + CH3CHO -> CH2=CH-CH=CH2\ + 2H2O}}} このプロセスは第二次世界大戦中のアメリカの合成ゴム製造の中心となった方法であり、2006年現在でも中国やインドで用いられている。
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