ウクライナ人の姓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 22:31 UTC 版)
詳細は「ウクライナ人の名前」および「ウクライナ人の名字」を参照 ウクライナでは古くから住民の移動・移住が大規模に行われており、地域に固有の姓というものは薄れている。本来固有と考えられる地域は、以下の通りである。なお、表記は便宜的なローマ字表記とする。 西部地方には-ak、-ukなどkで終わるパターンの姓が多く、隣接するポーランドやチェコなどにもよく見られる。 北部及び東部などドニプロ・ウクライナ地域では、「コ」(-ko)あるいは、「エンコ」(-enko)という父祖の名にちなむ姓の語尾が多い。隣接するロシア・ベラルーシなどでもごく普通に見られるが、ウクライナにルーツのある姓とされる。なお、男性・女性で語尾の変化はない。 人名 イヴァネンコ:イヴァンの子 ペトレンコ:ペトロの子 マルチェンコ:マルコの子 コンドラテンコ:コンドラトの子 フォメンコ:フォマ(トマス)の子 ルカシェンコ:ルカシュの子 フメリヌィチェンコ:フメリニツキーの子 職名 シェウチェンコ:靴屋の子 コヴァレンコ:鍛冶屋の子 トカチェンコ:織屋の子 スリュサレンコ:大工の子 ホンチャレンコ:陶工の子 ゾロタレンコ:金匠の子 民族名 コザチェンコ:コサック(ウクライナ人)の子 モスカレンコ:モスカーリ(ロシア人)の子 リャシェンコ:リャフ(ポーランド人)の子 リトヴィネンコ:リトヴィン(リトアニア人、ベラルーシ人)の子 ヴォロシェンコ:ヴォロフ(ルーマニア人)の子 タタルチェンコ:タタール(クリミア・タタール人)の子 ニムチェンコ:ニメツィ(ドイツ人)の子 スラヴ系諸国に多い-skijや-vichも多い。うち、-skijは女性名となると-skaの形に変化する。 ヴィシュネヴェーツィクィイ:ヴィシュネヴェーツィ町の領主、ヴィシュネヴェーツィ町出身 オストロージュシクィイ:オストローフ町の領主、オストローフ町の出身 ザスラーヴシクィイ:ザスラーウ(イジャスラーウ)町の領主、ザスラーウ(イジャスラーウ)町の出身 普通名詞を物主形容詞化して姓とする-in、-ev、-ovといったパターンも多い。-skij同様に女性名の場合は後にaが付き変化する。隣接するロシアやベラルーシでもごく普通に見られるが、これは帝政ロシア・ソ連による長期にわたる支配が大きく影響しているものと思われる。単語によってはウクライナ語ではロシア語では-ovとなるところが-ivとなる場合もある(「中島」という地名・姓が地域によっては「なかしま」と呼ばれるのに近い)。なお、-ev、-ovのパターンについてはブルガリアでも普通に見られる。 KuchmaやBubka、Mazepa、Chaykaなど-aで終わるような姓もあるが、これはたんにウクライナ語の普通名詞が姓となった例が多い。その場合、動植物の名詞が姓となっていることが多い。無論、-aで終わらない普通名詞も姓となっており、-aが特殊な例というわけではない。たんに、ロシア語系の姓では-aで終わる姓は女性形のみであるため、ロシア語系の姓に馴染んだものにとっては特異に感じられるだけである。普通名詞の性になった例としては、他にShchur、Buryakなど。これがロシア語化すると、Shchurov、Buryakovなどのように物主形容詞化することになる。
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