インフレと価格分散
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 14:13 UTC 版)
「エミ・ナカムラ」の記事における「インフレと価格分散」の解説
"Five facts about prices: A reevaluation of menu cost models"("価格に関する5つの事実:メニューコストモデルの再評価” ジョン・スタインソン共著) この論文では、米国の詳細なミクロ経済価格データを分析している。販売以外では価格変更が比較的稀であり、価格硬直性を特徴とするマクロ経済モデルを裏付けるものだったと彼らは著述している。価格変更の中央頻度はひと月あたり9-12%で、販売以外の価格変更が値下げの1/3を占めており、値上げの頻度はインフレーションと正の関係性があるが、値下げの頻度と値上げの大きさには何ら影響を与えず、価格変更幅の増減、価格変更において上向き傾斜のハザード関数は存在しない... より頻繁な価格調整を見いだした従来の研究は販売の影響(これが価格変更を起こすのだが、マクロ経済モデルに関連した意味における価格の伸縮性を構成するものではない)を考慮に入れていなかった、と彼らは指摘している。 彼らはデータ会社の価格設定行動を活用して価格硬直性のメニューコストモデルを試験し、複合的な裏付けを見いだしている。 "The Elusive Costs of Inflation: Price Dispersion during the U.S. Great Inflation"("とらえどころのないインフレーションのコスト:米国大インフレ時の価格分散" ジョン・スタインソン、パトリック・サン、ダニエル・ヴィラール共著) この論文では、インフレのコストを測定しようとしている。一般的に使われるニューケインジアンのマクロ経済モデルでは、インフレの社会的費用が非効率的な価格分散から生じる。 典型的モデルではインフレ率が高いほど価格分散が大きくなり、それゆえ厚生損失が大きくなる。 ナカムラ達はこの仮説を検証するため、1970年代と1980年代における米国の高インフレ時代の価格データをデジタル化している。 彼らは「大インフレ時期に価格変動の絶対値が上昇したという証拠がない」ことに気付き、「これはインフレの厚生コストへの標準的なニューケインジアン分析が間違っていることを示唆しており、最適なインフレ率に対するその影響を再査定する必要がある」と結論付けている。
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