イオン選択性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/27 17:14 UTC 版)
イオンの選択性はチャネルによってさまざまであり、一種類のイオンのみ選択的に透過させるイオンチャネル(カリウムチャネル、ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル、塩素チャネルなど)もあれば、多くの種類の陽イオンを通すイオンチャネル陽イオンチャネル(カチオンチャネル)も存在する。イオンチャネルはイオンの電荷や大きさを識別して、特定のイオンのみを通す仕組みを実現させている。カリウムチャネルの場合、カリウムイオンが通る小孔部の周りのポリペプチド鎖から酸素原子が突き出ている。この酸素原子はカリウムイオンがぴったり配位される太さに配置されており、カリウムイオンはこの小孔を通ることができる。カリウムイオンとナトリウムイオンは直径がそれぞれ0.133 nm と0.095 nm でナトリウムイオンのほうが小さいが、カリウムチャネルはナトリウムイオンをほぼ通さない。これは、ナトリウムイオンは小孔中で酸素原子と離れすぎており、小孔に入るときに水和が外れることによるエネルギー損失を回復できないからである。イオンチャネルはイオンを電気化学ポテンシャルの高い方から低い方へ透過する。細胞の場合、電気化学ポテンシャルの勾配は、膜内外でのイオン濃度差による化学ポテンシャルの勾配と、膜電位による電気ポテンシャルの勾配の和である。すなわち、濃度の高い方から低い方へ流れる傾向と、陽イオンの場合では電位が負の方向へ動こうとする傾向の釣り合いにより、流れる方向が決まる。細胞の内向きにはイオンを透過させるが、外向きには透過させにくい内向整流性チャネルも存在する。
※この「イオン選択性」の解説は、「イオンチャネル」の解説の一部です。
「イオン選択性」を含む「イオンチャネル」の記事については、「イオンチャネル」の概要を参照ください。
- イオン選択性のページへのリンク