アンチトロンビンとヘパリン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/07 07:49 UTC 版)
「アンチトロンビン」の記事における「アンチトロンビンとヘパリン」の解説
アンチトロンビンは生理的な標的酵素であるトロンビン、第Xa因子、第IXa因子をそれぞれ速度定数(結合速度定数)7–11 x 103 M−1 s−1、2.5 x 103 M−1 s−1、1 x 10 M−1 s−1で不活性化する。アンチトロンビンによるトロンビン不活性化の速度はヘパリンの存在下で1.5–4 x 107 M−1 s−1まで加速され、反応は2000倍から4000倍加速される。ヘパリン存在下での第Xa因子の阻害の加速は500倍から1000倍であり、速度定数の最大値はトロンビン阻害の1/10である。アンチトロンビンによる第IXa因子の阻害の速度はヘパリンと生理的レベルのカルシウムの存在下で約100万倍加速される。 アンチトロンビンはヘパリンポリマーに含まれる特定の五糖配列(GlcNAc/NS(6S)-GlcA-GlcNS(3S,6S)-IdoA(2S)-GlcNS(6S))に結合する。この五糖配列への結合に伴い、プロテアーゼ活性の阻害は2つの異なる機構によって増大する。1つの機構では、ヘパリンはアンチトロンビンの反応部位ループ(RSL)のコンフォメーション変化に依存して第IXa因子と第Xa因子の阻害を促進し、そのためアロステリックな機構である。もう1つの機構では、アンチトロンビン、トロンビン、ヘパリンの三者複合体の形成に依存してトロンビンの阻害が促進される。
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