アメリカの抵触法革命
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/09 04:01 UTC 版)
「不法行為の準拠法」の記事における「アメリカの抵触法革命」の解説
最密接地としてどの地が相応しいかについて異なる結論が導かれるとしても、以上の考え方は、いずれも基本的にサヴィニー以来の国際私法に対する考え方(法律関係本拠地説)を基調としている。これに対し、アメリカ合衆国においては、特に第二次世界大戦後になってから、国際私法の役割は複数の法域が目指している法政策を調整することにあり、統治利益が最も大きい法域の法を適用すべきとする考え方(いわゆるアメリカ抵触法革命)が有力に主張され、その議論に影響を受けた判例が現れた (Babcock v. Jackson事件)。 この事件は、ニューヨーク州の住民である運転者が、同州の住民である者を好意で同乗させ、カナダのオンタリオ州で交通事故を起こしたため同乗者に怪我をさせ、損害賠償請求を受けた事案である。伝統的な不法行為地法主義によれば、オンタリオ州法に従って損害賠償義務の有無や範囲が決まることになるところ、オンタリオ州法では、運転者の好意同乗者に対する損害賠償義務は免責されることになっていた。このような事案につき、ニューヨーク州最高裁判所は、オンタリオ州法を適用することの統治利益は、ニューヨーク州法を適用することの統治利益に比べて極めて小さいものであるとして、オンタリオ州法による損害賠償義務の免責を認めず、ニューヨーク州法に従って損害賠償義務を認めた。 なお、米国抵触法第2リステートメントにおいては、不法行為の準拠法につき、その争点につき事実及び当事者と最も重要な関係を有する国の法によるとされている。
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