輪違松毬菊文図鐔

刀装具の世界

輪違松毬菊文図鐔

わちがいまつかさきくもんずつば

室町時代鉄槌目地木瓜形 縦；８４ミリ横；８２ミリ

室町時代中期応仁頃、戦闘の様式の変化に伴って現れた打刀のための鐔の一つが応仁鐔と呼ばれる極めて個性の強い造り込みの鉄鐔である。鍛え良い鉄を槌目地に仕上げ、簡素な小透しを設けて手抜き緒の穴とし、地面には真鍮による点象嵌や具象的な文様を象嵌するを特徴としている。掲載の鐔は、四方猪目透しの施された地面に松毬（マツカサ）・こぼれ松葉・輪違・唐草・菊花・片輪車の文様が真鍮象嵌され、耳の周囲と透の縁には線象嵌が廻らされている。いずれも真鍮地は表面が黒化して渋い光沢を見せており、総体は重厚な趣に包まれている。