わさびテロ

実用日本語表現辞典

わさびテロ

「わざびテロ」とは、大量のわさびが入れられた寿司を訪日客に対して提供したことが外国人に対する嫌がらせであると認識された事件のことを意味する表現。

もともと中国や韓国の人々は辛いものを食べ慣れていることもあり、一部の人々は訪日時に寿司を食べる際にあえて「わさびを多めにして欲しい」というリクエストする場合がある。
ところが、すべての中国人や韓国人が辛いものが得意なわけではないため、事前に客と店側がお互いに確認をしておかないと「辛さ」に関する認識の齟齬が生まれる可能性がある。
また、中華料理や韓国料理における辛さは、唐辛子や花椒（ホアジャオ）などの香辛料に由来しており、これらはカプサイシンやサンショオールなどの辛味成分を主とする。一方で、わさびの辛味成分はアリルからし油（アリルイソチオシアネート）を主とする。
カプサイシンに由来する唐辛子の辛味は親油性分子で舌に長くとどまり残りやすいが、アリルイソチオシアネートに由来するわさびの辛味は揮発性が高く一気に鼻へツンと抜ける辛味をもたらす。
この局所的なわさびの辛味は、わさびに慣れている日本人でも時として咳込んで涙がポロポロと出るほどであるため、わさびに慣れていない海外の方からすると経験したことのない暴力的な辛さ（嫌がらせと誤解せざるを得ないレベルの辛さ）になる場合がありえる。

（2023年1月28日更新）