愚公山を移す
別表記:愚公移山
愚公山を移す(ぐこうやまをうつす)は中国古典に基づく故事成語であり、「たゆまず努力を続ければどのような難事業でも成し遂げられる」という意味で用いられる表現。漢文では「愚公移山」と表記される。
「愚公」は人物名である。 「山を移すという愚行」ではない。「愚公山という山を移す」でもない。
「愚公山を移す」の故事は紀元前の中国戦国時代に成立したとされる典籍「列子(湯問)」の中に見られる。
愚公と呼ばれる老人が、交通に不便であるからといって眼前の2つの山を移動しようとして、それを実現してしまうという話である。信念をもって地道に取り組むことの大切さが説かれている。もっとも、山の移動は、愚公の揺るぎない意志に感心した天帝(創世神)の計らいによって実現されるのだが。
「地道に続けてゆけば難しいことも達成できる」という含蓄をあらわす諺・故事成語としては、「愚公山を移す」の他にも、たとえば「雨垂れ石を穿つ」 や「虚仮の一心」などが挙げられる。虚仮(こけ)は愚か者の意味であるから「愚公」の字面とも相通じる。「五劫の擦り切れ」も同種の含蓄を背景にもつ言葉ではあるが、これは「長久の時」を表現する意味で用いられる言い方であり使い所が異なる。
「愚公山を移す」の英語訳は、ほぼ直訳の「The Foolish Old Man Removes the Mountains」 が定着している。
ちなみに新約聖書(「マタイによる福音書」や「マルコによる福音書」)には、「信仰があれば山をも動かせる」といった趣旨の事をイエスが説いたという記述がある。
愚公(ぐこう)山(やま)を移(うつ)す
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