がんに対する耐性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/03 00:40 UTC 版)
「ハダカデバネズミ」の記事における「がんに対する耐性」の解説
ハダカデバネズミはがんに対して高い耐性を示し、ハダカデバネズミにがんが発見されたことはなかった。このメカニズムは、一定のサイズに達した細胞群に新たな細胞を増殖させない「過密」遺伝子として知られているp16という遺伝子が、がんを防いでいるものである。ハダカデバネズミも含めたほとんどの哺乳類は、p16が活動するよりもかなり遅れた時期に活動する細胞の再生を阻害するp27と呼ばれる遺伝子を持っている。ハダカデバネズミにおいては、p16とp27の共同作用が、がん細胞の形成の阻害としての二重防壁を形成している。ハダカデバネズミはがん抑制遺伝子の産物であるp53タンパク質の濃度がマウスと比較して50倍も高く、血管等修復能力も高く、培養細胞の分裂速度が遅く、強い接触阻害を有する。 ハダカデバネズミの産生するヒアルロン酸ががんに対する耐性の一因であるという報告もある。ハダカデバネズミのヒアルロン酸はヒトやマウスなどの他の哺乳類に比べ5倍以上高分子でさらに密度が高く、High-Molecular-Mass Hyaluronan (HMM-HA) と名付けられた。このHMM-HAのノックアウト、もしくはヒアルロン酸分解酵素の過剰発現によりがん感受性になることから、HMM-HAのがん耐性に対する関与が報告されている。 現在では飼育個体においてハダカデバネズミのがんの症例が発見されている。ただし、この事はハダカデバネズミの高いがん耐性を否定するものではない。
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