イーエス‐さいぼう〔‐サイバウ〕【ES細胞】
ES細胞(いーえすさいぼう)
生体を構成するすべての組織に分化する能力をもった細胞のこと。受精卵が分裂を繰り返し、ある程度の細胞の塊になった頃に、その一部を取り出して培養する。胚性幹細胞または万能細胞ともいう。
生物は、1個の受精卵から発生し、無数の細胞分裂を繰り返すことによって、骨、筋肉、血管、神経などの組織を作り出す。このとき、組織になる前の細胞は、一種の未熟な状態であるが、あらゆる組織に分化する能力をもっている。
このうち、ES細胞は、別の胚に混ぜて培養すると、生体の組織や器官を人為的に作り出すことを可能にする。技術的な問題さえ解決できれば、再生医療として、ES細胞から必要な臓器を作り出し、臓器移植に利用することも考えられている。
1998年11月、アメリカのトムソン博士は、ヒトのES細胞の培養に世界ではじめて成功した。しかし、ヒトのES細胞からクローン人間づくりに転用される倫理的な問題もある。日本では、ES細胞の倫理的問題を議論する「ヒト胚研究小委員会」を設置し、行き過ぎた研究に歯止めをかけるガイドラインを作成している。
(2002.03.29更新)
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