ある日、爆弾がおちてきて
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| ある日、爆弾がおちてきて | |
|---|---|
| ジャンル | SF[1]、コメディ[2] |
| 小説 | |
| 著者 | 古橋秀之 |
| イラスト | 緋賀ゆかり |
| 出版社 | メディアワークス |
| 掲載誌 | 電撃hp |
| レーベル | 電撃文庫 |
| 発売日 | 2005年10月11日 |
| 巻数 | 全1巻 |
| テンプレート - ノート | |
| プロジェクト | ライトノベル |
| ポータル | 文学 |
『ある日、爆弾がおちてきて』(あるひ、ばくだんがおちてきて)は、古橋秀之による日本のライトノベル。イラストは緋賀ゆかりが担当。電撃文庫(メディアワークス)にて2005年10月に刊行された。雑誌『電撃hp』に連載された短編6編に加えて1編の書き下ろしを加えた短編集。どの作品も「時間」をテーマにしたボーイ・ミーツ・ガールもののSFである。『このライトノベルがすごい!』作品部門では2007年版で9位を獲得している[3]。
2017年4月にメディアワークス文庫(KADOKAWA)にて書き下ろし1編を加えた新装版(表紙イラスト:くろのくろ)が発売されている。
あらすじ
浪人生の遠山聡(松坂桃李)は、模試の成績の悪さに打ちのめされていた。 気落ちする中でふと、高校時代の同級生 永峰はるか(黒木華)のことを思い出す。そんな折、空から突然、はるかと瓜二つの女子高生が降ってくる。
彼女は自らをパルカ(黒木華・二役)と名乗り、胸に埋め込まれた時計を示した。 「これは私が人間じゃない証拠です。青春のときめきを感じると針が進み、12時を指した瞬間に爆発します」
時計はすでに 6時45分 を指していた。
パルカは聡をデートに誘い、遊園地、アイス、プリクラ──“ときめき”を重ねるたびに針は進んでいく。 「私のこと、忘れないでください」そう呟いた時、時計は9時半に到達していた。
聡はやがて、はるかのことを思い返す。 ──彼女は心臓病を抱えており、ある日倒れた彼女を助けた時のこと。 薬の名はニトログリセリン。「爆薬の原料だろ?」と驚く聡に、はるかは笑って言った。 「爆発なんかしないよ。これ、心臓の薬なの。ねえ知ってる? ニトロって甘いの。だから今キスしたら、きっと甘いはず」 その言葉の意味に気づけなかった自分を、聡は悔やんでいた。
現実に戻ると、パルカは汗を滲ませながらも「大丈夫」と笑う。だが彼女は自分を「生きた爆薬」だと語った。 「核爆弾なんて比べものにならないくらい。関東一円が消し飛びますよ!」
事態の深刻さに慌てた聡は「人のいない所で爆発すればいい」と説得するが、パルカは首を振る。 「ときめきがなきゃ意味がないんです。手をつないで、寄り添って、最後は甘いキスで」 苛立った聡は叫ぶ。 「そんなの勝手に一人でやれよ!」
その言葉にパルカは涙を流し、涙は小さな爆発を起こす。彼女は走り去り、聡はその瞬間、自分の名を呼んだ彼女が誰なのかに気づく。
──たどり着いたのは夕暮れの高台の公園。そこにいたのは、やはり「永峰はるか」だった。 生きることに絶望し、未来を拒んだ彼女は、爆弾=パルカという姿で聡の前に現れていたのだ。
「最後に、キスして」 そう求めるはるかに、聡は首を振った。時計は11時59分で止まる。 「そっか……君の未来は、もう別の誰かのものなんだね」 はるかは微笑み、小さな爆発とともに消えた。
その夜、永峰はるかが心臓病で亡くなったとの報せが届く。時刻は、公園で聡が彼女と向き合っていた頃だった。 葬儀の帰り、彼女の母から手渡された懐中時計は、パルカの胸にあったものと同じデザインで、針は11時59分を指したまま止まっていた。
聡はスマホを見つめる。プリクラには彼と並ぶパルカの姿が写っていたはずだが、今は彼一人しか映っていない。
(どんなに不安でも、絶望しても、僕は歩き続ける。十年後、五十年後の未来を見てみたいから)
青空を仰ぎながら涙を流す聡。その耳に、遠い記憶のような声が響いた。
──「ドッカーン!!」
登場人物
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既刊一覧
- 古橋秀之(著)・緋賀ゆかり(イラスト) 『ある日、爆弾がおちてきて』 メディアワークス〈電撃文庫〉、2005年10月25日初版発行(10月11日発売[4])、ISBN 978-4-8402-3182-4
- 古橋秀之(著)・くろのくろ(表紙イラスト) 『ある日、爆弾がおちてきて 【新装版】』 KADOKAWA〈メディアワークス文庫〉、2017年4月25日発売[5]、 ISBN 978-4-0489-2886-1
ドラマ
2013年にフジテレビ系列のテレビドラマ『世にも奇妙な物語 2013年 秋の特別編』で「ある日、爆弾がおちてきて」が実写ドラマ化。これは古橋にとって初の映像化である。なお登場人物の名前など、ドラマ化に際して一部変更されている。
脚注
- ^ 『このライトノベルがすごい!2007』宝島社、2006年12月6日、24頁。 ISBN 4-7966-5559-X。
- ^ 『このライトノベルがすごい!2007』宝島社、2006年12月6日、138頁。 ISBN 4-7966-5559-X。
- ^ 『このライトノベルがすごい!2007』宝島社、2006年12月6日第1刷発行、24頁、 ISBN 4-7966-5559-X
- ^ “「ある日、爆弾がおちてきて」古橋秀之 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年9月23日閲覧。
- ^ “「ある日、爆弾がおちてきて 【新装版】」古橋秀之 [メディアワークス文庫]”. KADOKAWA. 2024年9月23日閲覧。
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