『冠婚葬祭入門』事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/05 16:08 UTC 版)
1970年1月30日発行の『冠婚葬祭入門』(光文社カッパ・ブックス)は5ヶ月間で100版を超す大ベストセラーとなったが、同書の第353項の「目上の人には、はきものは贈らない」という記述に対し、はきもの業界からクレームがついた。「営業妨害であり、ひいては被差別部落の伝統産業への差別につながる」というのである。 このような経緯から、同書は1970年3月初め頃の版から内容が正反対に書き換えられている。 旧版 353 目上の人には、はきものは贈らない…目上の方には、はきものや下着類を贈るのは失礼とされています。(略)身につけるものの中でもっとも重宝ないただきものは、下着と靴下だと私は思っています。 新版 353 目上の人にも、はきものは贈ってもよい…目上の方には、はきものや下着類を贈るのは失礼とされていました。(略)身につけるものの中でもっとも重宝ないただきものは、下着とはきものだと私は思っています。 その後、『女性自身』1973年12月8日号(光文社)に味の素の広告が載り、そこに「目上に草履贈らぬがよし」「下駄や草履は『相手を踏みつけにする』という解釈から失礼とされています」などの記述があった。これに対し、再度、はきもの業界が光文社と味の素と電通にクレームをつけた。電通は『冠婚葬祭入門』に載っていたからと返答したが、はきもの業界は「訂正されているはずだ」と主張。電通側で調べてみると、事実、新しい版では記述内容が正反対になっているので驚いたという。 最終的に『電通報』にはきもの業界の随筆を載せることで折り合いがつき、1974年5月25日の『電通報』には、全国高級装履メーカー連合会の西口雅博会長の「随筆ぞうりの目」が掲載された。
※この「『冠婚葬祭入門』事件」の解説は、「塩月弥栄子」の解説の一部です。
「『冠婚葬祭入門』事件」を含む「塩月弥栄子」の記事については、「塩月弥栄子」の概要を参照ください。
- 『冠婚葬祭入門』事件のページへのリンク