『信濃奇勝録』・『日本伝説叢書』の記述
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/14 15:33 UTC 版)
「黒姫伝説」の記事における「『信濃奇勝録』・『日本伝説叢書』の記述」の解説
『信濃奇勝録』には「岩倉池の龍蛇高梨家(たかなしけ)の息女に掛想(けさう)して不叶其仇(あだ)を報(むくい)む為に水災(さい)をなせし」とある。すなわち、岩倉池に住む竜蛇が高梨氏の姫君に思いを寄せるが実らず、仕返しとして水害をもたらした、というのが物語の大筋である。1917年(大正6年)発行の『日本伝説叢書 信濃の巻』によれば「高梨家の息女」の名を黒姫といい、竜蛇と通じて黒姫山に住むとされる。本書に「岩倉池」の題で収録された物語を要約して以下に記す。 沓野川上流の岩倉池に住む竜蛇は黒姫に思いを寄せ、小姓の姿に化けて姫の元へと通った。こうして姫の気を引き、岩倉池にさらってしまおうと企んでいたが、不審に思った他の小姓に尾行され、ついに正体を知られてしまう。竜蛇は怒り、その小姓に毒を吐きかけて死なせてしまうが、これをきっかけに竜蛇の悪巧みは広く知られるところとなった。 竜蛇は思い通りにならない仕返しに、四十八池の水を落として高梨氏の一族を絶やしてしまおうと企てた。これに気付いた地獄谷の山神は、恩顧のあった高梨氏の人々を守るべく、燃えたぎらせた地獄の火で落ちてくる水を蒸発させてしまった。竜蛇はあわてて水を戻したが、既に遅く、大沼池、岩倉池、琵琶池、ほか4池を満たす程度の水しか残っていなかった。 なお、「沓野川」は『天保国絵図』にも見える川名であるが、現代の地図では「夜間瀬川」に置き換わっている。
※この「『信濃奇勝録』・『日本伝説叢書』の記述」の解説は、「黒姫伝説」の解説の一部です。
「『信濃奇勝録』・『日本伝説叢書』の記述」を含む「黒姫伝説」の記事については、「黒姫伝説」の概要を参照ください。
- 『信濃奇勝録』『日本伝説叢書』の記述のページへのリンク