『中小レポート』の影響と実践
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/03 07:09 UTC 版)
「中小都市における公共図書館の運営」の記事における「『中小レポート』の影響と実践」の解説
『中小レポート』では、その冒頭において「公共図書館の本質的な機能は、資料を求めるあらゆる人々やグループに対し、効率的かつ無料で資料を提供するとともに、住民の資料要求を増大させるのが目的である」と規定した。すなわち『中小レポート』の意義は、図書館の果たすべき機能を明確に規定し、その実践の主体は中小公共図書館であると明言した点にあった。 これは図書館活動の中心は大図書館であるとする従来の図書館観を批判しうちやぶるものであり、思想上の転換点として位置づけられる。同時に『中小レポート』の思想的意義は、公立図書館の存在意義を「国民の知的自由」と結びつけ、図書館の活動を「奉仕」の観点から再構成する点にあった。 一方で「中小図書館こそ公共図書館のすべてである」と掲げたテーゼは、都道府県立図書館の反感を買うものであり、都道府県立図書館の側でも『中小レポート』に対抗する図書館理論の構築を目指したが実現しなかった。このため、都道府県立図書館の側で独自の経営論を打ち出せなかったことは、かえって中小図書館が都道府県立図書館に追従しない独自の道を歩む契機となった。
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