「載置底面又は平坦上面ではなく」の記載
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 13:53 UTC 版)
「切餅事件」の記事における「「載置底面又は平坦上面ではなく」の記載」の解説
請求項1の要件Bにある「載置底面又は平坦上面ではなく」の解釈は、一次訴訟において、地裁と高裁で判断が分かれた箇所である。 地裁は、「載置底面又は平坦上面ではなく」の文言について、仮に原告の主張のように、側周面の修飾語だとするならば、「載置底面又は平坦上面ではない」などの表現をするのが適切だと指摘した。そのため、本特許の権利範囲は、底面や上面に切り込みが入った製品を含まないとみなした。 これに対して高裁では、「載置底面又は平坦上面ではなく」の文言について、これに続く「この小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に」との間に読点が付されていないことから、原告の主張通り、これは側周表面を修飾すると理解するのが自然だと判断した。問題の箇所に読点が付されていた場合は、請求項の該当箇所は「載置底面又は平坦上面ではなく、この小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に」との記述となる。高裁の判決はこの読点の有無に着目した。 また、そもそもこの「載置底面又は平坦上面ではなく」の文言自体が必要かどうかについても争点となった。被告は、側面に切り込みの入った切餅であることを表現するならばこの文言は不要だと主張した。原告は、直方体状の切餅は表面積が大きい面を底面として焼き上げるのが一般的ではあるが、表面積が小さい面を底面とすることも考えられるので、「載置底面又は平坦上面ではなく」の語句を入れずに、「この小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面」と述べると、直方体の6面のうちどの面が側周表面なのか特定できないと主張した。これについて地裁判決では、表面積が小さい面を底面とすることは不自然であるので、「載置底面又は平坦上面ではなく」の文言が必要であるとは言えず、むしろこの文言が入っていることは、底面や上面に切り込みが無いという意味に解されると判断した。高裁判決では、原告の主張通り、「載置底面又は平坦上面ではなく」の文言は、底面や上面とは別の面である側面という意味だと判断した。
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