「物語人称」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 01:40 UTC 版)
藤井貞和は物語の理論を展開する中で人称について体系的にまとめている。物語の中の視点人物はたとえ三人称で描かれていても、まるで一人称の主体が語っているかのように、その内面を語り、その視点で他人を眺める。例えば几帳の陰にいる女三宮を柏木が見る場面は語り手女房の視点ではなく柏木の視線で描かれ、若紫を光源氏が垣間見る場面も光源氏の視線で描かれる。このように三人称が一人称のような視点で見たり考えたりするありようを藤井は「物語人称」と呼ぶ。いわゆる会話文もまた三人称の登場人物の「われ」が描かれたものであり、同様に「物語人称」の一種である。 この「物語人称」は、アイヌ語の四人称(上述の不定人称)のうち「引用文中の一人称」の用法と重なる点があることを藤井も指摘する。 藤井の人称概念は、このほかに語り手の人称である「ゼロ人称」、作者の人称である「無(虚)人称」もある。
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