「城塞」と「火の祭祀」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/02 03:04 UTC 版)
「カーリバンガン」の記事における「「城塞」と「火の祭祀」」の解説
カリバンガン出土の「火の祭祀」に用いた三角形陶板 カーリバンガンの「城塞」は、南北に区分される。「城塞」内の道路は、北面の入り口から東西の入り口へ向かって斜めに走る一本のみ確認されている。「城塞」の北区は、「市街地」の住宅よりも規模の大きな「邸宅」が密集している。構造的に南区に付随するように見えることから、南区よりも後に造られたと考える研究者もいる。北区には、北、東、西に一カ所ずつ入り口があるが、西のものは北寄りに、東のものはやや南よりにあるため、入り口は向き合っていない。一方、「城塞」の南区は、祭祀の行われた施設と考えられている。南区の祭祀の行われた基壇は、通路によっていくつにも区画されていて、分かたれた基壇の上には、火を焚いた跡のある囲いと井戸、いけにえを埋納したと思われる囲いが残っている。また、七カ所に及ぶ火を焚いた跡と井戸を伴う基壇もあり、モヘンジョダロのような沐浴施設が見いだされない代わりに、「火の祭祀」を推察させる設備がある。「城塞」内の基壇で行われた「火の祭祀」跡には、泥づくりか前もって焼成した円筒状のブロックがあり、その周囲には、隅の丸い三角形のテラコッタ製陶板が発見されている。この陶板には、山羊の生け贄を表した線刻画が刻まれ、牛科の動物を生け贄にしたことのわかる遺構もある。 カーリバンガンでは、再生増殖の儀礼と関係すると考えられるテラコッタ女性像やリンガ石と呼ばれる石製品が出土しないのが特徴で、しばしば「再生」を表す「沐浴」儀礼の代わりに「火の祭祀」が行われていたことと関連するのかもしれない。なお、「火の祭祀」は、「市街地」の東側の遺丘の上でも行われている。
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