「先天盲開眼研究の問題と展望」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 22:22 UTC 版)
「先天盲からの回復」の記事における「「先天盲開眼研究の問題と展望」」の解説
特定の開眼者の学習過程の追跡調査・報告には長期を要する(顔の判別へ至るのに十年以上を要した例もある)ため協力者(被験者)との関係構築が必須であり、そのための環境(複数の継続的な研究協力者や研究援助)が必要となる。鳥居・望月たちは「光のプレゼント」活動(その後読売光と愛の事業団)との関わりの中で研究を発展させた。 回復過程の研究はそのまま開眼リハビリの研究ともなり得る。これには眼外科医だけではなく、視能矯正学、心理学、脳研究、医療工学など学際的な研究が求められる。先天白内障は発見早期の手術が普及して先天白内障に由来する生来盲がそのまま先天盲となるケースは先進国では以前ほどではない(先天盲参照)。開眼治療が可能な先天盲と失明回復治療の技術が未確立なものとが現在はっきり分化しているため、先天盲(生来盲および早期失明から十年近く経過)からの開眼は既に行われているか、有効な開眼術がなく見通しがたっていないかに分かれて、先進国での先天盲回復事例は少なくなり、研究はまだ途上である。治療技術の未確立な失明因に対する新たな開眼方法が確立すれば新たに先天盲開眼からの回復者が増加し、開眼回復過程研究、視能矯正学、心理学、脳科学、医療工学などで視覚回復研究に新たな発展が見られるかもしれない。 現在、先天盲からの回復を組織的に研究しているのはインドで盲児を支援する“プロジェクト・プラカシュ(光)”(PROJECT PRAKASH)である。このプロジェクトにはアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)などが協力して、脳科学的な観点も含めた研究が行われている。
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