「ラガニア」はアノマロカリスの胴体、「ペイトイア」はアノマロカリスの口(1980年代)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 00:33 UTC 版)
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アノマロカリス・ナトルスティ(=ラガニア・カンブリア、ペイトイア・ナトルスティ)の全身化石 1980年代の見解に基づいたアノマロカリス・カナデンシスの復元図 こうして数十年も不明確であった「アノマロカリス」、「ペイトイア」と「ラガニア」の本質だが、古生物学者ハリー・ウィッティントン(Harry B. Whittington)とデリック・ブリッグス(Derek Briggs)が1980年代に行われる研究によって解明され始めた。1980年代初期、ウィッティントンが「ラガニア」に似た所属不明の化石標本 GSC 75535 を解析したところ、その先端から1対の「アノマロカリス」と1つの「ペイトイア」に似た構造が発見された。そして既存のいくつかの「ラガニア」の化石にも似たような結果を得られており、その先端から「ペイトイア」と、「アノマロカリス」とはやや異なった1対の櫛状の前部付属肢が発見された。こうして「アノマロカリス」、「ラガニア」と「ペイトイア」はお互いに無関係な動物ではなく、それぞれ少なくとも同じ分類群(ラディオドンタ類)の動物に由来する体の一部(「アノマロカリス」=前部付属肢、「ペイトイア」=口、「ラガニア」=胴体)であることが判明した。 ウィッティントンとブリッグスが共著した1985年の記載(Whittington & Briggs 1985)では、これらの全てが1つの属によるものと考え、その属名を学名の先取権に従ってアノマロカリス(Anomalocaris)にした。更に、この属の中には前部付属肢の形態だけ明らかに異なる2種、いわゆる「アノマロカリス」型の前部付属肢をもつ、その学名を元通りに受け継ぐアノマロカリス・カナデンシス(Anomalocaris canadensis)と、ペイトイアの種小名を受け継ぐ、櫛状の前部付属肢をもつアノマロカリス・ナトルスティ(Anomalocaris nathorsti)を認めていた。「体の各部位がかつてそれぞれ別生物とされた」という、一般に「アノマロカリスの復元史」として紹介された経緯は、この見解によるものである。
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